ルーキー向けのオフシーズン・レース開催案をF1チームが支持。課題は物流などの運営費
メルセデスF1のチーム代表トト・ウォルフは、F1が、シーズン最終戦後にアブダビでルーキードライバー向けの特別レースを開催する可能性を検討していることを明らかにした。 【写真】2024年F1第12戦イギリスGP FP1に出走したジャック・ドゥーハン(アルピーヌ) F1チームから幅広い支持を得ているこの提案は、若いドライバーが潜在能力を発揮し、F1マシンのステアリングを握って貴重な経験を積む重要な機会を提供することを目的としている。シーズンの早い時期にこのようなイベントを開催すると、事故があった場合チームの週末やタイトルを争うドライバーに影響が出るリスクがある。ウォルフは、この斬新なアイデアの背後にある主な動機は、F1で進行中のチャンピオンシップ争いに支障をきたすことなく、新人ドライバーにより多くの走行時間を与えることだと強調した。 「F1コミッションでこの件について議論したが、我々は新人ドライバーにもっと多くの機会を与えることに熱心になっていると思う」とウォルフが説明したと『RaceFans』は報じた。 「課題は、グランプリレースの週末に彼らに機会を与えたら、メインドライバーやメインドライバーのパフォーマンスに影響が出る可能性があることだ。メインの週末に彼らにレースをさせたら、レース結果に影響が出る可能性があるし、タイトルを争っている場合にはかなりのダメージが出るおそれがある」 ウォルフはまた、シーズン最終戦の後にレースを開催することで、若いドライバーたちがチャンピオンシップにプレッシャーをかけることなくレースウイーク全体を体験できるようになると指摘した。 「彼らにレース週末の一連の流れを体験させ、マシンをプッシュさせ、比較できるようにさせるための他のやり方は見つからなかった」 「アブダビでのレースでは、全員が同じ(量の)燃料を積んで、同じタイヤを履くことになるので、それぞれのマシンで彼らがどのように比較されるか見るのは興味深いものだろう。そうしてシーズンが終わる」 このコンセプトは好評だったが、F1チームが直面している物流上の課題はウォルフにとっても無視できないものだった。 「チームにとっては負担になるだろう。あと1日(走行日が)増えるからだ」 「しかし、我々はエンターテインメント業界にいる。そして、彼らにもっと走行時間を与えるためには、これがこれまでで一番よいアイデアだ」 ウォルフによれば、この提案は各チームが投票権を持つF1コミッションで全会一致で承認されたという。 「我々全員が同じ目的を持っているので、そのアイデアを支持しない人は部屋にひとりもいなかった。彼らにもっと露出する機会と走行時間を与えたいと考えていて、それが我々の着地点となった」 フェラーリのチーム代表であるフレデリック・バスールもこのアイデアを歓迎し、現在はレースの週末にルーキーがドライブする機会が限られていることに同意した。現在のF1の規則では、チームはシーズンごとに少なくとも2回のフリー走行で、レース出場が3回未満のドライバーを走らせることを義務付けられているが、バスールはこれでは不十分だと考えている。 「我々は彼らにもっと(フリー走行1回目のセッションを)行う機会を与えようと考えていた。しかし彼らはすでにF2で14ラウンドを走っている」とバスールは語った。 「それに加えて、スプリントレースがある。そのときはFP1を諦めることはできない。そして一部のコースでは簡単なことではない。シンガポール、モナコ、もしくはバクーでのFP1は決して手放せないのだ」 「結局のところ、実際の状況のなかで、また(旧型マシンによるテストの)システムの外で、彼らにマシンをテストさせる機会を与えることはそれほど多くはないということだ」 「この機会は、フリー走行、予選、スタートと、週末全体をフルに活用できるよい機会になると思う。確かに企画するのは簡単ではないが、私は支持している」 この計画が実現すれば、若い才能の持ち主たちが世界選手権に影響を与えるプレッシャーなしに貴重なレース経験を積むことができる。それは彼らのF1昇格を支援する重要な一歩となるだろう。 [オートスポーツweb 2024年09月11日]