トランプ返り咲きで今後の金や原油価格はどうなるのか、長期金利は一段と上昇する懸念が出てきた
仮に下院も共和党が過半数を維持するなら、大統領と上下院議会とも共和党が制する「レッドスイープ」(トリプルレッド)が実現する。この場合、トランプ氏が自らの政策を強力に推進することが容易になってくる。大規模な減税政策を維持、あるいは拡大することによって、現在すでに危機的な状況に向かっていると警告されているアメリカの財政赤字がさらに拡大するリスクが高くなり、長期金利の一段の上昇をもたらす懸念が大きい。
こうした長期金利の上昇は、コモディティ市場にとっては大きな売り材料である。それがドル高の進行を伴うときはなおさらだ。とりわけ金(GOLD)や銀などの市場にとっては、目先大きな売り材料となる可能性が高い。すでに「トランプ氏大統領選勝利」が確定的になった現地時間6日前後からは金や銀の価格が大きく調整している。 これまでは地政学上のリスクも含め、先行きの不透明感が安全資産としての金に対する需要を高めるという側面もあった。だが、レッドスイープならば、不透明感も急速に後退してくることになるだろう。金利の上昇やドル高の進行という大きな売り材料に加え、安全資産としての需要期待も弱まり、金市場が大きな調整局面を迎えることは避けられないのではないか。
一方、エネルギー市場への影響は、かなり長期的な視点に立って見る必要がありそうだ。 この分野では、トランプ氏が化石燃料などのエネルギー開発分野での規制緩和を進める意向を示すいっぽう、ハリス氏はクリーンエネルギーへの移行加速を後押しする姿勢を示していた。いずれにせよ政策の変更が実際の需給に影響を及ぼすようになるまでには、数年単位の長い年月を要することに変わりはない。 典型的なのは石油だ。トランプ政権が発足すれば、アメリカ国内の石油開発に関する規制が緩和され、同国の石油生産が増加する可能性は高そうだ。ただ実際に開発が承認され、生産が増加を始めるまでには7年から10年の期間が必要となりそうだ。