トランプ返り咲きで今後の金や原油価格はどうなるのか、長期金利は一段と上昇する懸念が出てきた
11月5日に行われたアメリカ大統領選挙は、共和党のドナルド・トランプ前大統領が民主党のカマラ・ハリス副大統領に勝利することが確定的になった。 再選を果たせなかった大統領がその次の選挙で勝利するというのは、1880年代から1890年代にかけて、第22代と24代を務めた民主党のグロバー・クリーブランド大統領以来、2人目となる。 ■トランプ氏に完全に力負けしたハリス氏 筆者が住んでいるアメリカでも、投票前は主要メディアが大接戦を予想していた。だが、いざフタを開けてみればトランプ氏が「スイングステート」と呼ばれる接戦州のほとんどを制するという、圧勝だった。
ハリス氏にとっては、バイデン政権前半のインフレの急速な進行が有権者の怒りを買ったことや、その後も有効な経済政策を打ち出せなかったことが尾を引いた。さらに、自らも有権者へのアピールも足らなかったことなどが敗因とされているが、要するにトランプ氏に力負けをしたということだろう。 一方、議会選挙でも共和党が上院で過半数を奪還することが確定的となり、現在は下院でも過半数維持ができるかどうかが焦点となっているが、この途中経過を見る限り、結局4年間の民主党政権に対して、有権者がノーと言ったことは間違いないと思われる。
さて、トランプ氏の大統領への返り咲きは、今後のアメリカ経済や市場にとってどのような意味を持つだろうか。すでにS&P500種指数などアメリカの主要株価指数は軒並み史上最高値を更新、ビットコインなどの暗号資産もやはり史上最高値をつけているが、今回はコモディティ(商品)市場に焦点を絞って、今後の動向を考えてみたい。 ■「レッドスイープ」なら、長期金利は一段と上昇の懸念 コモディティ市場の方向性を考えるうえでは、やはり長期金利の動向から目をそらすことができない。その点においては、ハリス、トランプ氏のどちらが大統領選挙に勝利するのかよりも、政権と議会が異なった政党になるという、所謂ねじれ現象が起こらなかいことに大きな意味がありそうだ。