体操女子・宮川選手18歳衝撃告発で見えてきた不可解なコーチ暴力処分の陰謀
宮川選手は、塚原女子強化本部長が協会内に持つ権力に関して「私は、2015年の世界選手権の代表になってからしか見ていないが、大きな権力を持っている方と凄く感じていた。周りのコーチ、本部長についている先生たちは、本部長の言うことは絶対で何も意見が言えない状態。周りの方々も本部長に影響されて何もできない。朝日生命の監督でもあって2つの権力を持っている」という。 塚原女子強化本部長は、元メキシコ五輪代表で、引退後は五輪コーチを歴任、北京五輪では女子監督も務めている。 また、速見コーチを引き離し、自らが監督を務める朝日生命に入れようと画策しているように思えた狙いについては、「自分では言いにくいが、私は世界選手権や五輪でメダルを取れる選手。私が朝日生命に入ることで注目され、利益を得ると思う。私を入れるためには速見コーチが邪魔で、そういう力が働いたのではないか」と分析した。 宮川選手は、勇気ある告発をした上で、こう訴える。 「体操界を変えるには、強化本部長が変わるとか、手を打つとかを考えないとダメ。権力に支配されるのではなく、選手ひとりひとりが純粋に強くなる環境にして欲しい。そして、私自身、速見コーチと一緒に練習できるようにして欲しい。何があっても速見コーチと一緒に練習することを決めています。一から東京五輪での金メダルを目指したい」 現在、一連の報道や速見コーチの処分にショックを受けて、睡眠がとれず、毎日のように頭痛が続く状況で、世界選手権、全日本シニア選手権、代表合宿のすべてを辞退する考えを明らかにした。 宮川選手の会見終了から、1時間半後に原宿の岸記念体育会館で、体操協会の山本専務理事が顧問弁護士と共に会見を開いた。こちらは宮川選手の会見とは違い、THE PAGEなどWEBメディアの動画配信は認めなかった。被害者の宮川選手がパワハラ行為を否定したにもかかわらず、次から次へと具体的な暴力行為事例をあげて、今回の速見コーチ処分の妥当性を主張。無期限登録抹消された資格の復帰に関して「真摯に反省して実績を積み都道府県協会から申請されれば再登録を検討する」と再登録へ門戸を開いていることは明らかにした。 だが、この日の会見で暴露された塚原女子強化本部長のパワハラ行為については「断片しか聞いていないのでわからない。回答は差し控えたい」と逃げを打った。 8月21日に、宮川選手が「パワハラ行為を受けてない」と声明を発表、処分を不服として地位保全の仮処分を裁判所に申し立てた時点で、このあたりの事情を協会として調査するのは、当然であるべきなのに、なんとも不誠実な対応に徹した。 「書面(が提出され)可能なら面談して話を聞くことはあります。調査することは考えております」と、宮川選手から正式な訴えがあった場合に調査を検討することは明らかにしたが、ここまでの不可解な動きを把握した段階で、独自に調査、自浄作用を発揮するのが当然だろう。体操協会の正常なるガバナンスが機能していないことは明らかだ。また音声データなどが残されていないため、塚原女子強化本部長がパワハラ発言を否定する可能性も大きい。「言った」「言わない」論争となると、灰色決着となる懸念もある。だが、宮川選手は「今話したことは、私が受けている事実です。これを否定されることは、して欲しくない」とも言った。