体操女子・宮川選手18歳衝撃告発で見えてきた不可解なコーチ暴力処分の陰謀
だが、宮川選手が「家族と共に先生を信頼して一緒にやっていきたい」と断固として速見コーチを支持、暴力、パワハラ行為についての証言を拒否すると、逆ギレ気味に「(あなたの)家族もどうかしている。宗教みたいだ」と、人権を侵害するかのような問題発言を投げかけられ、「今後、協会として協力できない」「五輪に出られなくなるわよ」とまで脅された。これが事実ならば完全なパワハラ発言だ。 「大きい声で高圧的。恐怖を感じて怯えていました」 その5日後に今度は、塚原女子強化本部長の付き人から「朝日生命の寮が1つ空いているから使ってもいいのよ」「朝日生命も近いし(塚原)本部長もいる」と、優しい口調で朝日生命への移籍を薦められ、専任コーチの電話番号を伝えられたという。それでも宮川選手は、「私の心はまったく動かされませんでした」と無視を決め込んだ。 しかも、これらの協会幹部からの宮川選手への働きかけは、まだ速見コーチへの暴力問題に関する聴取が行われていない段階だった。宮川選手は「速見コーチと私を引き離すことを前提に大きな力が働いたことは間違いなく、そこに強化本部長が関わっていたことは間違いない」とまで断言した。 塚原女子強化本部長の宮川選手へのパワハラ行為はこれだけではなかった。 協会は、リオ五輪後に、塚原女子強化本部長の肝いりで「2020東京五輪特別強化選手特別強化対策」というプロジェクトを立ち上げ、2016年11月に選手への説明会が行われたが、「詳細な強化プランがまったく見えず、参加も義務ではなかったので」との理由で宮川選手は参加しなかった。その際、速見コーチからは「強化できると感じる場所なら入った方がいい」とまで言われたが参加は見送った。 すると、その年の12月19日には、塚原女子強化本部長から自宅へ電話が入り「2020への申し込みをしなければ協会として協力できないし五輪にも出られなくなるわよ」と、高圧的に参加を強要された。 宮川選手は、「脅迫のような電話。覚えておかなくちゃいけない」と感じたため、電話の内容をメモに残して日付を記録した。 「頭が真っ白になった。従わねばならないのかなとも思った」と言うが、「これに参加すれば、速見コーチと引き離され、2020のコーチに教えられて朝日生命に入れられる」という不信感が募ったため、そのパワハラ発言に屈することはしなかったが、その“反抗”が塚原女子強化本部長の逆鱗に触れた。 宮川選手は、NTCの使用を制限され海外派遣を見送られた。 「本部長の言うことを聞けば優遇され、聞かなければナショナル選手で五輪に出ていてもこんな仕打ちを受けて排除される。権力を使った暴力だと感じます。純粋な気持ちで体操をして純粋に強くなりたいんです」 ナショナル強化選手の中には、宮川選手同様、「2020」に参加しないため、NTCの利用に制限を受けるなど同様の被害を受けている選手が複数人いるという。 宮川選手は「このままでは五輪に出場できない」と、ついに折れて6月に「2020」に登録したが「具体的な強化実態もなくすべてが不透明。脱退を希望しています」と悲痛に語った。