K-1元2階級王者の卜部功也 9・29代々木で引退セレモニー「スターを育てたい。強ければいいのではなく」
初代K-1スーパーフェザー級王者、第2代K-1ライト級王者で、6月8日に引退を表明した卜部功也が、『K-1 WORLD MAX 2024』(9月29日、国立代々木競技場第二体育館)で引退セレモニーを行うことが9日、都内で開かれた記者会見で発表された。 卜部は卓越したディフェンス技術で「アンタッチャブル」と称された。19年7月のKrushでジュー・シュアイに1回KO負けすると、自らのジム「ALONZA ABLAZE」をオープンするため充電期間に入った。20年9月、約1年2カ月ぶりに復帰して篠原悠人に勝利。今年3月、約2年8カ月ぶりに復活し、鈴木勇人に敗れた激闘がラストマッチとなった。 卜部の質疑応答は次の通り。 ◇ ◇ 「私は3月20日の試合を最後に、現役を退くことを決めました。15年間の現役生活でしたが、本当に熱い日々を送ることができました。これも応援していただいたファンや関係者のおかげだと思っています。今後は、自分のジムのALONZA ABLAZEの選手がK-1、Krushを代表するような選手になるように育てていきたい」 -引退を決意した理由は 「自分が満足いく練習ができないということがありました。本当は2階級制覇した時に辞めようと思っていて。でも、まだ見たいという、応援してくださる方の声もありました。メンタル的に不安定だったんですけど、でも新しいことをしようとジムをオープンしました。その中で会員さんに試合を見せたいという思いや選手も育ってきて、65キロで鈴木勇人選手と戦って、もう一回やったろうと思っていました。その試合で負けてしまって、スッキリしました」 -思い出に残る試合は 「ISKAのタイトル戦を行った海外遠征ですね(14年5月1日、フランスでのイェトキン・オズクル戦)。そこですごく意識が変わりました。兄貴と武尊がセコンドに来てくれて」 -兄・弘嵩との試合ではない? 「もちろん、それもそうなんですけど。でも、忘れたいくらいですね(苦笑)。兄弟でベルトをかけて2回も戦うなんて、なかなかないことなので。当時は嫌だったんで、今後のファイターたちには兄弟対決はお勧めしない(笑)」 -鈴木勇人戦の反響は 「負けたは負けたんですけど、いい試合だった、まだいけるのではと言われて。でも選手が集まってきていたんで、育てないとなとは思っています。自分は引退して、スター選手を育てたい」 -復帰の可能性は? 「もうない。おなかいっぱいです(笑)」 -若い選手にメッセージを 「若いのでもっと発信していって、思想とか哲学とか人それぞれだと思うので、もっと出していってほしい。それがぶつかり合えば、自然と盛り上がっていくと思います。プライドを持ってやってほしい」 -指導者としてどういうファイターを育てたいか 「強い選手ではなく、スター選手を育てたい。強ければいいのではなく、そこは選手と一緒に考えながらやります。試合の見せ方、倒す姿勢とか」 -3階級制覇の夢は生徒に託す? 「うちには3階級制覇ができる選手もそろっているので、そこも目指してほしい」 -現役生活は楽しかったか 「楽しいというよりかは、ずっと燃えていました。楽しいというか、苦しい気持ちの方がありましたね。苦しいけど、燃えているような。それが刺激的で楽しかった」 -対戦したかった選手はいたか 「やりたかった選手は……、僕がピークの時はあんまりいなかった。でも後から原口健飛選手とかが出てきて、うまいし、若いし強いなと思っていました」 -スター選手の定義は 「強さの項目の中にいくつか要素があるんですが、チケットを売れる、認知される、世間から見られて華があるとか、数値化されるものも含めて総合的に意識しています。チケットが売れて集客させるのも含めて、一緒にがんばっていきたい。メディアに出ることも大事なので、うちの選手はルックスもいい選手がそろっていますので、ぜひ取り扱ってください」 -ファンへラストメッセージを 「15年間、応援だったり、叱咤(しった)激励もあったと思いますが、いろいろな声も含めてすべて力になりました。自分が育てた選手が、これからもリングに上がっていくと思いますので、注目をしてくださるとうれしいです。今までありがとうございました!」