「もはや“ととのい至上主義”だ」「銭湯が、お年寄りが行けない場所になりつつある」…サウナの「異様な流行」の裏で進む“老人の排除”の実態とは?
こうした変化は、「サウナー」に向けた「選択と集中」の結果だろう。 サウナは、なんとなく行く場所ではなく、「目的」を持って行く人のための場所になった。温浴専門コンサルタントの望月義尚は「昔のサウナーはマッサージ、アカスリ、ビール、寝る……そういうことも含めて施設全体に目的がありました。一方で、今のサウナーはサウナ・水風呂・外気浴という『サウナ体験そのもの』に非常に特化した目的があります」と述べている。
そんな「選択と集中」が別の形で現れているのが、サウナの料金だ。 特にサウナを楽しむために作られたサウナ専門店では、その値段が3000円前後のことも多く、ふらりと行く値段ではなくなってきている。 例えば、サウナーの聖地ともいわれる池袋の「かるまる」は通常料金が3480円。赤坂の「サウナ東京」は土日の場合、1時間で2400円、2時間だと3100円だ(平日はそれぞれ500円ずつ安い)。 また、コロナ禍以後流行り始めている「個室サウナ」については、より値段が高く、その先駆けともいえる「ソロサウナtune」は1時間4000円、ラグジュアリーサウナの「KUDOCHI」は1室1時間6000円である。
施設料金だけでなく、それに伴う出費も増えているらしい。 サウナ王としても知られる温浴コンサルタントの太田広はインタビューの中で「実際にサウナ客は、お風呂目的の人と比べて3倍近くお金を使う傾向があります」と、新R25のインタビューで述べている(「『こうやってハマってもらうんです』温浴業界最強コンサルタントが明かす“儲かるサウナのウラ側”」/2018年11月3日)。 サウナによって交感神経が活発になり、食べ物や飲み物への渇望が生まれるから、そうした需要が生まれるらしいのだ。
知らず知らずのうちに、生物レベルでお金を使ってしまう……と聞くと、サウナに疎い人からすれば、「怖い」という感想も出るかもしれない。 ■すでに「価格が安くなれば行きたい」層も出現? いずれにしても、サウナの料金は上昇しつつある。こうした流れによってサウナは、そうした価格に耐えられる人、あるいは「その価格でも行こう」と思う人にのみ向けられた施設になっている。 実際、サウナ実態調査での「どうすればサウナに行きたいか」という質問では、非サウナーの23%が「金銭的余裕があれば行きたい」「価格が安くなれば行きたい」と「価格」を理由にサウナに行っていないことが明らかになっている。