紅麹サプリの健康被害拡大 小林製薬と政府、対応に追われる 不安払しょくへ機能性食品を緊急総点検
「プベルル酸」検出も腎臓への影響は不明
今、最も求められているのは、なぜ死者を含む多数の健康被害を出したのか、についての徹底した原因究明だ。原因物質について小林製薬は3月29日の記者会見で「環状構造の物質が疑われる」などと曖昧な説明をしていた。しかしこの会見途中に厚労省が「健康被害との関連はまだはっきりしないがプベルル酸が検出された」と具体的な物質名を明らかにした。このため会見場では記者の厳しい追及を受ける場面もあった。会見は約4時間半に及び、同社の情報公開の在り方に疑問を抱かせる形になった。 厚労省は小林製薬の調査データの提供を受けながら国立医薬品食品衛生研究所(国立衛研、川崎市)を中心に原因究明に当たる方針だ。3月29日の記者会見で小林製薬の担当者は「製造工程で何らかの成分が入ったようだ。今後は調査データを国の研究所に提供しながら原因を究明していきたい 」と述べ、原因調査が厚労省や国立衛研主導で行われることを明らかにした。 国立衛研は1874年に医薬品試験機関として官営の「東京司薬場」として発足した国内で最も長い歴史を持つ国立試験研究機関。医薬品・医療機器や食品、化学物質などの安全性、有効性についての調査・研究や主管官庁の厚労省の薬事行政関連の調査などを行っている。 同省によると、プベルル酸は天然化合物で、抗生物質としての特性がある一方、強い毒性もある。問題の3商品には本来は含まれていない。腎臓への影響や腎疾患との関連はまだはっきりしないという。現在、他に可能性がある原因物質はないかなど、国立衛研を中心に詳しい検証作業が続いている。
広く健康関連商品の在り方再検討を
高齢化社会が進み、誰でも長く健康でいたいと願う。若い人や働き盛りの人の間でも健康志向が高まっている。今後も医薬品とは異なる身近な健康関連商品に対するニーズは減らないだろう。消費者庁は「『機能性表示食品』って何?」と題したサイトの中で「たくさん摂取すれば多くの効果が期待できるというものではありません。過剰な摂取が健康に害を及ぼす場合もあります」などと記している。