新型出生前検査「陽性」産むことを決めた母親 批判集まる認定外施設、検査結果をどう理解するべきか?
「非専門家にビジネスチャンスがあり、一方で本来の専門家には過度な自主規制をかけて、どうするのか」 FMC東京クリニックの中村靖院長は、出生前検査の専門クリニックでありながら長い間NIPTを行えずにきた実情を訴えた。認定施設になるには、分娩施設の設置など厳しい認定要件が課せられていたためだ。その上で、多くの産婦人科医が長年行ってきた羊水検査や母体血清マーカー検査とNIPTとの矛盾を指摘した。 羊水検査や母体血清マーカーはどちらも認定制度などなく、あらゆる産婦人科で行われてきた。一方で、NIPTについては認定制度がつくられている。母体血清マーカー検査よりも検査結果の解釈に伴う混乱が少なく、羊水検査のような流産リスクがない。にもかかわらず、なぜNIPTだけ認定制度があるのか。それが中村院長の主張だった。 ディベートでは認定外施設への疑問も出た。産婦人科医ではなく、なぜ美容外科医などが検査を行うのか。その質問に栗原氏はこう答えた。 「本当は産婦人科と提携したかった。でも、声をかけたところは『学会のルールがある』とすべて断られた」
会場では認定制度の是非について、スマートフォンで投票が行われた。ディベートの開始前は、「必要」が6割だったが、終了後は逆転し、「不要」が6割に上った。学会終了後、参加者から認定外施設の問題は「制度設計の問題ではないか」という意見も聞かれた。 本学会の大会長である宮城県立こども病院の室月淳氏はディベートを行った意図をこう語る。 「NIPTの結果だけで中絶を選択されてしまうこともあるが、陽性や判定保留などの検査結果が出た場合は,専門的な対応と説明が必要。妊婦さんと赤ちゃんを救うためには、認定外と認定施設が対話するチャンネルが必要ではないかと思い、ディベートを企画しました」 このディベートでは、「認定外」側から栗原氏だけが参加し、登壇者から集中的に批判された。この議論を通して、栗原氏はどう考えたのか。改めて取材を依頼した。