新型出生前検査「陽性」産むことを決めた母親 批判集まる認定外施設、検査結果をどう理解するべきか?
検査自体は簡単だが、その結果は時に「命を選択する」判断を伴う。そのため、日本産科婦人科学会(日産婦)といった関係学会などは、NIPTを扱うのは妊婦や赤ちゃんのことを熟知する産婦人科医が行うべきだと指摘してきた。 それでも認定外施設が増えているのはなぜなのか。 NIPTコンソーシアムの調査によると、認定外施設を選ぶ理由として最も多かったのは、「検査項目が多い」だった。そのほか、「年齢制限がない」「インターネット予約や土日検査も可能」「夫婦での来院が不要」などが挙げられていた。 一方、認定外施設のデメリットで指摘されるのは、遺伝カウンセリングの有無だ。認定施設で受検した人は、事前と事後に遺伝カウンセリングを受ける必要がある。対して、認定外施設には、こうした遺伝や疾患に関する情報提供のルールは特に定められていない。 そこで課題となるのが「NIPT陽性の検査結果をどう捉えるべきか」だ。特に認定外施設では検査対象が全染色体と広い。そのため受検者はずらっと並ぶ疾患名や陽性結果に戸惑うケースも出てくる。実は、認定施設で検査できる3つの染色体以外の異常は、専門家の間でも決して知見が深いわけではなく、評価が難しい側面がある。
これまで、日産婦などの学会は認定外施設を問題視してきたものの、「認定」側と「認定外」側が直接対話する機会は公に設けられてこなかった。 そんななか、2022年9月に仙台市で開催された「日本母体胎児医学会学術集会」で、「NIPTの認定基準は必要か」をテーマにしたディベートプログラムが組まれた。全国の認定外施設の半数近くを取り仕切るDNA先端医療株式会社の代表、栗原慎一氏が登壇し、関係者が注視するイベントとなった。
専門家からは「このような制度なら不要」の声
会場となった仙台市中小企業活性化センターは多くの席が埋まり、熱気にあふれていた。 「すべての産婦人科でNIPTが受けられる状態を目指すべきであり、そうなると認定制度は不要でしょう。すべての産婦人科で妊婦が適切にNIPTを受けられる、認定制度が不要な状況を目指すべきだと思います」 NIPT導入時の認定制度づくりに関わった一人である東京都立墨東病院・久具宏司医師。その久具氏が「このような制度なら不要」だと先陣を切った。