新型出生前検査「陽性」産むことを決めた母親 批判集まる認定外施設、検査結果をどう理解するべきか?
検査は「陽性」だったが子は元気に生まれてきた
FMC東京クリニックでは「遺伝カウンセリング」を勧められた。遺伝に関わる情報や悩み・不安を医学的に相談できる場だ。さやかさんは医師や遺伝カウンセラーから「8番染色体に関しては大変評価が難しく、症例数も少ない事例」と説明を受けた。確定診断のために羊水検査を受け、結果が出たのは2021年のクリスマスイブ。細胞に染色体異常が見つかったが、その比率は4%だった。 この検査結果をどう考えるべきか。さやかさん夫妻は小さな疑問もすべて尋ね、丁寧に答えてもらった。結論として、産むことを決めた。 出産は2022年の初夏。次男は元気に生まれてきた。入院していた大学病院で染色体検査を受けたが、異常細胞の比率は0%になっていた。
NIPTで陽性結果が出たのは、正常細胞と異常細胞が混在する(モザイク)状態だったことが原因で、生後の検査では異常細胞は検出されなかった。さやかさんは言う。 「染色体検査の結果が出るまでの間も、不安はありませんでした。生まれてきた我が子の顔を見たら4%でも15%でもよくなっていました」 結局出産までに、出生前検査や超音波検査、羊水検査など総額で70万円ほどかかった。費用は高額になったが、さやかさんは「徹底的に検査したから納得できた」と話す。そして次子を妊娠できたら、その時もまずは認定外施設で全染色体検査を受けたいと思っている。
認定外施設にはあまりない「遺伝カウンセリング」
NIPTが受けられる施設の間口が広がっている。2022年9月には地域の産婦人科クリニックなど全国204カ所が追加され、従来の大学病院など169の基幹施設と合わせて計373施設となった。 だが、これは日本医学会が認定した「認定施設」の数だ。同学会が認定していない「認定外施設」は全国に170以上あり、検査数も2021年度までは認定施設と同じくらい実施されている。 「認定外」といっても、法的な問題はないとされる。医療行為としては妊婦に採血をすることが主となり、その血液を検査会社に送るのに高度な技術は必要ない。それゆえ、医療関係者以外の事業者がNIPTをビジネスとして捉え、参入してきた。認定外施設の医師の多くは産婦人科医ではなく、美容外科医や内科医らだ。