水沼氏が語る ミラン本田の強靭なメンタル
セリエAの名門ACミランに移籍した日本代表MF本田圭佑が、最初の1か月を終えた。リーグ戦で3試合、カップ戦で2試合の計5試合に出場。ゴールこそ2部のスペッツィア戦でマークした1点だけにとどまっているが、総括すれば100点満点中で80点を与えてもいい内容だった。 4‐2‐3‐1の「3」の右サイドで先発した現地時間26日のカリアリとのリーグ戦は、本田のフィジカル・コンディションがほぼ完璧に整ったことを証明した一戦でもあった。 注目したいのは前半18分に訪れた決定的なシーンだ。中盤でMFデ・ヨングが相手ボールをカットし、後方のMFコントリーボに下げた瞬間、本田は自陣からダッシュを開始している。 モントリーボから左サイドのMFロビーニョへタテパスが入り、トップ下のカカ、右サイドに流れたFWバロテッリと流れるようなパスがつながった間も本田のスピードは落ちない。バロテッリからの落としに対して一気にカリアリの最終ラインの裏へ抜け出し、ダイレクトで利き足とは逆の右足を合わせた。 強烈なシュートは相手GKの右足に弾き返されてしまったが、自分は走れるという情報が頭脳にインプットされていなければ、あれだけの長い距離を全力で走ることはできない。フィジカル・コンディションが整っていなければ、体が「無理だ」というシグナルを送ってしまうからだ。 とにかく本田へ頻繁にボールが回る。後半13分に、こんなシーンがあった。本田は、自陣から猛然とドリブルを開始し、相手のペナルティーエリア付近で左サイドのロビーニョへパス。そのままゴール前へ侵入し、ロビーニョからの折り返しに今度は左足を合わせた。やや体勢を崩し、当たり損ねのシュートはバーの上を超えてしまったが、前線の選手とのフィーリングはまったく問題はない。加入して間もない本田を中心にボールが回るようになった。その背景には、12日のサッスオーロとのデビュー戦における「ひとコマ」が、密接にリンクしているように思える。