水沼氏が語る ミラン本田の強靭なメンタル
惜しむらくはゴールをあげられなかったことであり、マイナスとなった20点分も3度の決定機を外した点が響いた部分が大きい。前半39分に放ったヘディングシュートが相手ゴールキーパーの正面を突いた直後には両手を叩くポーズとともに、珍しく悔しさを表してもいた。 本田自身も内心では何とか結果を出したいという思いが強いのだろう。前節のベローナ戦あたりから、クロスに対してゴール前へ侵入していくシーンが多くなった。リーグ戦におけるゴールという結果を残せれば気も楽になり、余裕を持ってプレーできる好循環も生まれる。 リーグ戦で初先発を果たした19日のベローナ戦ではトップ下だった本田は、カリアリ戦では右MFに回った。カカをトップ下に置いたときのロビーニョとの「ブラジルライン」の相性なども含めて、就任したばかりのセ―ドルフ監督もチーム内の適性を見極めている。 今後も右サイドでのプレーが多くなれば、右サイドバックのイタリア代表DFデ・シリオとの攻守におけるコンビネーションも重要になってくる。ヘディング弾を防がれ、悔しがった直後にはすぐにクロスを上げた21歳のデ・シリオに対して「OK」を伝えるなど、本田もしっかりと今後も見すえている。 カリアリ戦でゴールを決められなかったことへ、イタリア国内のメディアの中からは厳しい声も散見されたが、悪ければ悪い、よければ持ち上げられるのがはっきりしているお国柄だ。一喜一憂することはないし、本田が先発した直近のリーグ戦2試合で連勝した意義は大きい。 これで成績を7勝7分け7敗の五分に戻し、勝ち点28で順位も9位とひと桁台に上げたミラン。来季のUEFAチャンピオンズリーグの出場権を獲得できる3位ナポリの勝ち点44はもちろん、ヨーロッパリーグ出場圏内の4位フィオレンティーナの同41も依然として厳しいと言わざるを得ない。 同じくヨーロッパリーグへの出場権を得られる5位インテルの勝ち点33を現実的な目標としながら、ミランは次節以降でナポリや首位ユベントスをはじめとする上位陣と対戦していく。本田にとっても真価が問われる試合が続くことになる。 (文責・水沼貴史/構成・藤江直人)