夢の意味を調べるのはダメ!ストレスで嫌な夢ばかり見るときの対処法
ストレスフルな夢を見る理由とは?
多大なストレスを抱える時期に奇妙で暴力的な夢を見る理由の一つは、その感情によって脳が急速眼球運動(レム)睡眠に通常よりも長く留まるから。レム睡眠は夢を見る睡眠段階であるため、ストレスを抱える時期ほど夢をよく見るようになり、これがとくに奇妙な夢を見る確率を高めている。 でも、こうした影響はおそらく偶然ではない。『Dreams: The Basics』の著者で精神科医のデイル・マサーズ医師が言うには、夢にも目的がある。だからこそ、私たちが精神的に圧倒されているときに夢を見る時間が増えるのにも理由があるのだという。 「夢は、私たちの潜在意識から顕在意識への象徴的なコミュニケーションです」とマサーズ医師。「ですから、私たちは夢を見た直後に一瞬目を覚まし、意識に取り込んでから、再び眠りについているのです」
マサーズ医師が解説する、夢を見る3つの主な理由
1. 記憶を形成し、定着させるため 「新しいことを学んだ後で眠ることができれば、記憶はもっとも定着します。夢の中で古い記憶を振り返り、それを再構築し、新しい情報と結びつけています。また、必要のない記憶は消去が行われることもあります。これはとくに、苦痛を伴う感情的な体験を解決するために重要です。つまり、重度のトラウマを経験し、それに関する夢を見ることができなければ、その問題が解決されることは決してないのです」 2. 共感を学ぶため 「これは正常な感情の発達において不可欠であり、夢が果たすもっとも重要な機能です。夢には、不安や恐怖、恐れのような強い感情が含まれます。これは、潜在意識がこれらの感情に取り組み、統合させることで、私たちは感情的な問題に対する新たな解決策を夢の中で見つけることができたり、自我の意識と自己の認識を発展させていけるのです。これはよく逆説的な方法で起こります。夢は、夢で見るものとその逆の両方を意味します。例えば、虎の夢は怖いしれませんが、同時に虎のような勇気が必要だと示唆していることがあります」 3. 創造的に問題を解決するため 「これには多くの例があり、ポール・マッカートニーの名曲「Yesterday」は、本人が寝ている間に作られたようです。多くの科学的発見もまた、夢の中で答えを見て成されている事例はたくさんあります。作家たちは、プロットを作るために夢を利用しているようです。マロリー・ブラックマンは、小説『Noughts and Crosses(コーラムとセフィーの物語~引き裂かれた絆~)』の結末を夢で見て、想像していた結末と違っていたので混乱したと話しています」 こうした要因を考慮してみると、ストレスやトラウマ、不安を抱える時期に嫌というほど夢を見るのは理にかなっている。 「実生活でストレスに感じている出来事、またはその経験から形成される記憶は、コルチゾールなどの神経伝達物質と何らかの形で“タグ付け”されている可能性があります。そして、これらの記憶は夜の夢を通じてさらなる処理が行われる必要があり、脳が睡眠中に行う作業が増えることを強調できるでしょう」とリスター医師。 おそらく、夢とストレスに関するベストな問いかけは、「ストレスが夢に与える影響は何か」ではなく、「夢がストレスに与える影響は何か」である。2022年の研究によると、悪夢を見る頻度が高いと報告した学生ほど、実生活でストレス管理がうまくできていることがわかった。一方で別の論文によると、うつ病患者は夢の記憶が34%減少することが判明している。 「夢は出来事を処理し、前回はストレスをどう対処したかという記憶と結びつけて、ストレスに対する感情を過去に感じたすべてのストレスとつなげているのです」とマサーズ医師。「心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しむ兵士たちは、現実で目にしたものを夢で見ることがまったくできないことがあります。これは厄介なことです。一度夢を見ることを学べると、生存者への罪悪感やトラウマの処理を開始できるようになります」