黄金ルーキーを手玉にとった阪神・藤浪晋太郎のワインドアップ&目線切り2021年型新フォームが凄いワケ
そして「目線切り」にはもうひとつの効果がある。 打者に抱かせる恐怖感だ。 「投手に目を切られるのは嫌だ。特に荒れ球の投手は」という打者は少なくない。その目線や雰囲気からコースや球種を察知する打者もいる。だが、目線を切られると「どこにくるか読めない」との恐怖感が植えつけられるという。 池田氏は、現役時代、中日の落合博満氏が、その目線を読みコースを絞っていることを知り、あえてアウトコースを見てから裏をかいてインサイドを攻めて攻略したことがある。 「それをやるとさすがの落合選手も踏み込めなくなっていた。藤浪の場合、相手より自分のことが最優先なんだろうが、そういう効果もある」 昨年、藤浪の成績は防御率4.01、1勝6敗、7ホールドだった。3月に新型コロナ感染のプロ野球選手第1号の一人となり、遅刻騒動などで2軍降格のペナルティを受けて開幕は2軍スタート。7月に昇格すると8月21日のヤクルト戦で1年11か月ぶりの勝利をつかんだが、その後結果が出ずに再び2軍落ちとなった。だが、新型コロナの影響でブルペン陣に人が足りなくなったため9月26日のヤクルト戦から中継ぎ起用されると、長く眠っていた素質が開花。最速162キロをマークするほどの復調を遂げた。今季を見据えて10月28日の中日戦からは先発で起用され、3試合に投げて自責ゼロのピッチングを続けた。不運にも勝ち星がつかなかったが、今季への調子の継続が期待されていた。継続どころかオフの間に藤浪はさらに進化していた。 池田氏は、「2桁勝たないとおかしい投手」と、14勝した2015年以来となる6年ぶりの2桁勝利復活を予想している。