阪神の梅野がFA権を行使せずチーム残留を決断…“苦悩の選択”は正解だったのか?
「考えさせてもらう時間はたくさんいただいて、阪神球団の方にもたくさんお話しをいただいた中で、自分自身で考えに考え抜いて出した結論なので、少し時間はかかってしまいましたが、今はこのチームで絶対に優勝するという思いだけです。タイガースファンの方々からの声や思いも届いていましたし、自分自身の決断を後押ししてくれました。来年こそはこのチームのみんなとタイガースファンのみなさんと、一緒に喜びを分かち合いたいです」 FA権の行使期限は12月7日。残留宣言がここまで遅れたのは、それほど梅野が思い悩んだ証拠だろう。矢野監督との信頼関係に対する不安と、他球団の評価を聞いてみたいという、プロ野球選手としては当然の思いで気持ちが揺れ動いたのかもしれない。 ネットやSNS上では、阪神ファンの間から「“梅ちゃん”の残留」に胸をなでおろすコメントがたくさん寄せられているが、梅野の決断は正解だったのだろうか。 元千葉ロッテの評論家、里崎智也氏は、梅野の残留の決断を支持する一人だ。 「梅野は阪神に残留すべきだと思っていました。FA宣言をすれば、巨人やソフトバンクが獲得に動くのではないか、という憶測も流れていましたが、梅野が求めるのは、全試合でマスクをかぶることでしょう。巨人は、梅野を獲得することができれば、大城をコンバートさせたのかもしれませんが、小林もいて、決してレギュラーを確約されるわけではありません。西武から巨人にFA移籍して楽天に移った炭谷を見ればわかりますが、結果が出なければ逆に厳しい立場にも追いやられるのがFA選手です。ソフトバンクにしても甲斐がいますから競争ということになるでしょう。FA移籍となると年俸はアップしますが、私の感覚でいうと、プロ野球選手は、1億円を超えると、お金よりも出場機会です。試合に出なければベストナインも、ゴールデングラブ賞などの個人タイトルの獲得チャンスもなくなります。“お金さえもらえれば、別に試合に出れなくともいい”なんて考える選手はいません。となると梅野が、そのチャンスをつかむ機会は阪神が一番多いんです。胸を張れる結果を出せば、もちろん首脳陣も梅野を使うでしょうし、まだ30歳。この先、何年プレーするのかということを考えれば、阪神残留が一番の選択肢だったんです」