なぜ阪神は“守護神”スアレスを引き留めることができなかったのか
クローザーとして今季42セーブを記録した阪神のロベルト・スアレス(30)が保留者名簿に記載されず自由契約となり、今季限りの退団が確実になった。スアレスは、昨年オフに推定2億6000万円で阪神と2年契約を結んだが、希望すれば2年目の契約を破棄できるプレイヤーオプションが盛り込まれており、メジャー流出が危惧されていたが、その懸念が現実になった。 実は51試合に登板し、25セーブを挙げた昨年の今頃も、メジャーのオフの市場で、彼の名前を耳にしたが、阪神に残留。阪神の条件を上回るオファーがなかったか。 だが、今年は違ったようだ。 なぜ阪神はスアレスを引き留めることができなかったのか。スアレスのメジャーでの評価がどれくらいのものかを探ってみた。
トップ級の抑え投手相場は11億円超え
スアレスは、今季62試合に登板し、62回1/3を投げて、防御率1.16。被本塁打はゼロで、WHIP0.77、58奪三振、8四球と、昨年以上の数字をマークしたことで、市場の空気が一変した。メジャーからのオファーが、今年の阪神の年俸を超えることは確実となり、ア・リーグのあるスカウトも、「もう、200~300万ドル(約2億3000万~3億4500万円)で契約することは無理」と話した。 さらに同スカウトは「“掘り出し物”になりうる」とも口に。どういうことか? 今やメジャーで信頼できるクローザーの年俸は1000万ドル(約11億5000万円)を軽く超える。今季、リリーフ投手では、トップだったケンリー・ジャンセン(ドジャース)の年俸は2000万ドル(約23億円)。実績のあるセットアッパーなら800万ドル(約9億2000万円)前後が相場か。 今オフの市場を俯瞰するとフリーエージェント(以下FA)となったセットアッパー/クローザーは少なくない。トップランクがライセル・イグレシアス(エンゼルス)、ジャンセンらで、イグレシアスは4年総額5800万ドル(約65億5000万円)でエンゼルスと再契約した。次のランクにいるのは、ケンドール・グレイブマン(アストロズ)、コーリー・クネーベル(ドジャース)、ヘクター・ネリス(フィリーズ)、マーク・マランソン(パドレス)、ライアン・テペラ(ホワイトソックス)らで、グレイブマンは3年総額2400万ドル(約27億1000万円)でホワイトソックスと契約、ネリスは2年総額1700万ドル(約19億2000万円)でアストロズと合意している。トップランクの投手の年俸は1000万ドル(約11億5000万円)を超える見込み。クネーベルらの年俸も年700~800万ドル(約8億~約9億2000万円)になると見られている。