親の言葉が非行少年を生む?「みんなと仲良くしなさい」と言われ育った少年が、万引きに走った衝撃の理由
あなたは、子どもに“呪い”をかけていませんか?
親が「よかれ」と思って言っている言葉の中には、子どもにとって“呪い”となってしまう言葉があります。 【マンガの続きを読む】「両親が声をかけるべきだった」万引きが常習化していく少年が出していたSOSは…… 「みんなと仲良く」「早くしなさい」「頑張りなさい」 「何度言ったらわかるの」「勉強しなさい」「気をつけて!」 どの言葉も親が言ってしまいがちな“あるある”の一言ですが、これらの言葉により子どもが非行に走ってしまうことがあるといいます。 そこで今回は、1万人の非行少年・犯罪者と面接・心理分析してきた犯罪心理学者の出口保行さんが、事例とともに「危ない声かけ」「よりよい子育て」を解説したベストセラーのマンガ版『マンガ 犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉』(SBクリエイティブ)から、一部抜粋し、ご紹介します。 子どもの頃から親から「みんなと仲良く」と言われ育ったワタルは、人の顔色をうかがうのが常となり、自分の意思表示は後回しにしてしまうのが悩み…。そして、とある出来事がきっかけで、万引きに手を染めることになってしまう。
「みんなと仲良く」が個性を破壊する
《あらすじ》 子どものころから親に「みんなと仲良くしてね」と言われ続けて育ち、何事にも積極的になれないワタル…。 部活で一緒の苦手な同級生にも強く出る事が出来ず、次第に部活も休みがちになってしまう。 そんな時、ちょっと不良っぽいミツヤに声をかけられて…?
協調性のある子と自己主張できる子
協調性を大事にしたいと考えている人は多いでしょう。日本人に特徴的な価値観のひとつであり、私自身も周囲と協調しながら作られた場が心地よく感じます。協調性がある、周囲に合わせることができるというのだって、ひとつの能力です。 ただし、グローバル化が進む現代ではとくに、自己主張できないのはマイナスになると感じます。 私は法務省勤務時代、国際連合の研修に参加し、世界各国の優秀な官僚たちと議論をしたことがありますが、それはもうすごい経験でした。模擬国際会議で各国の猛も者さ たちが激しい主張を繰り広げます。人の話を遮さえぎってでもガンガン主張するのです。 私を含めた日本人は圧倒されてしまい、たいして主張することができませんでした。主張したいことがなかったわけではありません。これも私たち日本人が自己主張に慣れていないということでしょう。 国際社会では、相手の話も聞きながらしっかり自己主張するという感覚を身につけなければ、太刀打ちできないだろうと感じました。せっかくいいものを持っていても、表現できなければわかってもらえません。もったいないことです。 日本において、協調性を大事にする価値観は簡単には変わらないでしょう。これ自体が決して悪いものではないことは強調しておきたいところです。ただ、新しい時代に活躍する子どもたちには、大人が新しい価値観を受け入れる姿勢で向き合うことが必要です。 自分の意見を臆することなく言える、自己主張ができるのは長所です。協調性があるのも長所。どちらも褒めてあげてください。