親の言葉が非行少年を生む?「みんなと仲良くしなさい」と言われ育った少年が、万引きに走った衝撃の理由
短所をひっくり返せば長所になる
親はわが子に対して、自分の価値観と合わないところを短所として見てしまいがちです。協調性が大事と思っているのに、子どもの自己主張が強いと「もっと空気を読みなさい」「自分のことばかり言わないでまわりのことを考えなさい」と言ってしまうのではないでしょうか。 しかし、自己主張できるのは長所でもあります。自分で考え、それを伝えることができるのですから素晴らしいことです。 逆に、自分の考えを言えることが大事という価値観であれば、協調性の高い子に対し「自分の意見を持ちなさい」「人に合わせてばかりでは恥ずかしい」と言うかもしれません。 しかし、短所だと思っているところは、長所でもあるのです。 この「短所=長所」の言い換えができると、子育てはラクになります。短所として注目すると心配で、子どもに対してもつらくあたってしまいがちですが、叱られてばかりでは子どもは萎縮(いしゅく)してしまいます。叱るほうもつらいでしょう。 「まったくあんたは先のことを考えずすぐ行動するんだから」と短所としてとらえていることも、「普通だったらいろいろ考えちゃうところを、パッと決めてすぐできるんだからすごいよね」と言い換える。どちらもまったく同じ性格特性についてコメントした言葉なのです。長所も短所も、ある特徴をどうとらえるかという話です。最初は時間がかかるかもしれませんが、習慣になれば難しいことではありません。 少年院の先生は、ポジティブに言い換えるのがとても上手です。相手は非行少年なので短所としては目立つ部分があるわけですが、それをひっくり返して伝えてあげます。 たとえば「やることなすこと全部遅い」と言われてきた子に「慎重に考えて行動できるのがいいところだよね」。 「飽きっぽくて長く続けられたためしがない」と言われてきた子に「いろいろなことに興味を持てるのがいいところだね」。 本人たちも短所だと思っているので、こう言われて驚きます。はじめて受け入れてもらえたと感じ、自分でもポジティブな見方ができるようになります。 もちろん、ある特徴が原因で問題が起きているのであれば、それを指摘してあげることは重要です。事態を理解しなければ、改善点も見つかりません。そして、一緒に改善する方法を考えることが大事です。しかし、「おまえはいつもこうだ」と決めつけ、指摘し続けることに意味はないのです。