「じつは破格1億円オファーを断っていた…」女子バレー古賀紗理那“まだできる”の声に本音「復帰は絶対にない」“28歳で引退決断”の真相
年俸1億円の破格オファーもお断り
世界最高峰のトルコリーグに属するワクフバンクはかつて木村沙織も在籍した世界のトッププレーヤーが集うトップクラブ。出された条件も破格だった。 「最初提示されたのは1億円。もう引退するから、と伝えたら『じゃあ、あと3000万~4000万プラスするから来てくれないか』って。お金がすべてじゃないけど、それだけ評価してもらえることはありがたかったし、海外でのプレーに興味がなかったわけじゃない。もしも、(そのオファーが)1年前とか2年前だったら、行ったと思います。でも、もう辞めると決めた後だったので、私はできない、とお断りしました」 オファーがあったのは今が初めてではない。東京五輪からの3年で、トルコ、イタリア、アメリカ、各国リーグのクラブからだけでなく、日本のJTマーヴェラス(現・大阪マーヴェラス)でプレーしたアンドレア・ドルーズからも「アメリカにできる新しいリーグで一緒にやらない?」と連絡が来たこともあった。 興味がないわけではなかった、と言いながらも、なぜ海外でプレーする選択をしてこなかったのか。答えはシンプルだ。 東京五輪を終え、再び「やる」と決めた時点で、古賀はパリ五輪をゴールと定めてきた。プロとして生きる異国の選手たちと戦えばスキルは向上するかもしれないが、短い時間で言葉の壁や環境に適応できるか。熟慮した末に、古賀は日本で身体づくりから見直し、パリ五輪で悔いの残らない最高のパフォーマンスをして引退する、という道を選んだ。 だから破格の契約金や年俸にも踊らされることなく、自ら決めた選択を貫き、パリ五輪を最後に引退した。
「選手として生きるよりも…」父の教え
考え方のベースには、リオデジャネイロ五輪に落選した2016年に父・裕正さんからかけられた言葉があった、と振り返る。 「『選手として生きるよりも、それからの人生のほうが長い』と。当たり前のことなんですけど、本当にその通りだと思ったし、だったら私は自分が一番いい時だろうが、悪い時だろうがここで辞めると決めて、そこまで頑張って、また次の楽しみを見つけたい、と思った。それ以上の理由はないですね。お金をいくらもらえたとしても、選ぶのは自分で、生きるのは自分の人生。いつか復帰するだろうと無責任に言う人もいるけれど、私の決意は固い。これから先も選手としてやることは、絶対にないです」 では、これからをどう描いているのか。まだ構想段階で何も決まっていない、と言いながらも古賀が語るイメージは具体的だった。 「本気でうまくなりたいと思っている子たちに向けたクリニックをしたい。全体に向けたバレー教室ではなくて、本気で上手になりたい子たちに向けて、ブロックの基準の取り方とか、そのブロックに対する攻撃の仕方、バレーボールの考え方をちゃんと教えたいんです」 日本代表だけでなく、NECでプレーする試合時も、古賀は具体的な言葉で話せる選手だった。 「何がよくて何が悪かったか」「何をしようとして何ができなかったか」 コート内でも常に周囲の選手へ向けて対策を打ち出す。 昨シーズン、Vリーグ連覇を達成した直後、セッター塚田しおりは「ミーティングで対策してきたことだけでなく、相手のブロックが今どうなっているか。的確な指示を出してくれて、『だからこうしよう』と言える紗理那に引っ張られてきた」と明かした。 エースとしてただ点を獲るだけでなく、チームを動かす。2季連続でリーグを制し、昨季だけで言えば皇后杯と併せたダブルでのMVP受賞が何よりの証明だった。 その一方で、紛れもなく日本女子バレーを象徴する選手であったはずなのに、主将を務めた日本代表では悩む姿ばかり見てきた。 「もっとこうしよう、と言っても伝わらない。必死で走って後ろを見ても誰もいない。あー私、浮いてる、って自分が一番感じていました」 うまくなりたい。もっと考えて動ける組織になりたい。がむしゃらになればなるほど、孤独を感じる。 古賀の言葉は、女子バレー界が抱える課題を浮き彫りにする。 (後編に続く)
(「バレーボールPRESS」田中夕子 = 文)
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