「地理学」でフィールドワークにはまる学生 測量士補、地域調査士、GIS学術士…多くの資格を取得も
地球温暖化や食糧問題、相次ぐ大規模な自然災害など、世界や日本が抱える課題に文理横断的にアプローチする学問が、地理学です。歴史のある学問ですが、現代の学生はどのように地理学を学び、どのような力を身につけているのでしょうか。環境地理学科で学ぶ学生に聞きました。(写真=専修大学文学部環境地理学科4年の稲岡慎之介さん、専修大学提供) 【写真】富山県で2泊3日の野外実習を体験
文系・理系のジャンルを超えて学ぶ
地理学には大きく分けて、人間の社会、経済、歴史、文化などを研究する「人文地理学」、地形、気候、水の循環、土壌、生物などを研究する「自然地理学」、特定の地域の特色を人文・自然の両面から総合的に探究する「地誌学」の3つがあります。法政大学や明治大学、日本大学、奈良大学などの地理学科、地理学専攻は、こうした地理学のジャンルを総合的に学ぶことができます。 一方、地理学をさらに細分化したところもあります。大阪大学文学部には、人文地理学に特化した専修があり、人間と地域、環境、空間、場所との関係を探究します。東京大学は、人文地理学を中心とした教養学部学際科学科の地理・空間コース、自然地理学を中心とした理学部地球惑星環境学科で地理学を学ぶことができます。つまり、東大で地理学を学ぶには文系、理系それぞれからのアプローチがあるというわけです。 環境問題が大きくなるなか、専修大学文学部の環境地理学科、立正大学の地球環境科学部地理学科、東京都立大学の都市環境学部地理環境学科など、地理学をベースに地球温暖化や異常気象、自然災害、都市環境の変化、少子高齢化など、自然環境や社会環境の諸課題にアプローチする学科もあります。 専修大学環境地理学科4年の稲岡慎之介さんは、もともと特に地理に興味があったわけではありませんでした。しかし、高校で世界史や政治・経済を学ぶなかで社会科に欠かせない地図という存在や環境問題にも興味がわき、それまで深く学んでこなかった地理学を改めて勉強してみたいという気持ちが芽生えました。 「世界史や政治・経済も学んでいると地理学が関わってきます。社会科分野を横断的に学ぶためには、地理学の知識が必要だと考えました。環境地理学科がある生田キャンパスは、裏手に生田緑地があり、自然に恵まれています。こうした環境を生かした実習も多くあるという点にひかれて専修大学に進もうと思いました」