「地理学」でフィールドワークにはまる学生 測量士補、地域調査士、GIS学術士…多くの資格を取得も
取得できる3つの資格
環境地理学科の授業は、「座学も含めてすべて楽しかった」と稲岡さんは話します。入学した2021年はコロナ禍のためにフィールドワークの制限もありましたが、授業が楽しく、地理学の魅力にどんどんはまっていきました。 「高校までの地理は暗記することが多く、詰め込み型の印象がありましたが、大学では地図や地形を読み取ったり、古い地図から当時の様子を想像したりして、自分で探究していくのが面白くて仕方ありませんでした。さらにフィールドワークで現地調査を体験し、人とのコミュニケーション能力や、大学生、社会人として必要なスキルも身についたと実感しています。今の自分は、環境地理学科での経験によって形成されているといっても過言ではありません」 教員免許を取得しており、卒業後は企業に就職してさまざまな経験を積んだのちに、教育関係の仕事に携わりたいと考えています。 「就職後もボランティアで子ども食堂の手伝いをするなど、地域にも貢献をしていきたいです」 環境地理学科は文学部の中に設置されていますが、同学科の高岡貞夫教授は「地理学は文理融合の学問」と話します。 「例えば1限目に経済地理学の授業を受けて、2限目には地形学の授業で火山や地震などについて学ぶといった具合で、学修が進められます。社会に出たら文系、理系の関係なく、多面的に対処すべき課題に取り組むことになるので、文理融合の学びが役立つと思います」 環境地理学科では、所定の単位を取ると測量士補のほか、日本地理学会が認定する地域調査士やGIS(地理情報システム)学術士という資格を取得できます。 「GISはデジタルの地図情報を分析する技術で、環境地理学科では特に重視しています。地域が抱える課題について、事象間の空間的つながりを意識しながら解決策を探る際に役立つ技術です。環境地理学科ではこうした先進的な技術を身につける一方で、フィールドワーク教育も重視しています。パソコンの前にいるだけでもさまざまな情報が手に入る時代ですが、それはだれかを経由したセカンドハンドのデータです。学生には現地でじかに見聞きすることによってしか得られないファーストハンドの情報も大事にしてほしいと思っています」 地理学での学びを生かした進路としては、教員や公務員のほか、都市計画や防災計画、環境保全計画を立案するコンサルタント会社、旅行会社への就職などがあります。現地に足を運んで苦労しながら積み重ねた学びは、将来にわたって貴重な財産となるでしょう。 (文=中寺暁子、写真=専修大学提供)
朝日新聞Think キャンパス