「地理学」でフィールドワークにはまる学生 測量士補、地域調査士、GIS学術士…多くの資格を取得も
現地に足を運ぶ
地理学で不可欠なのがフィールドワークです。野外を歩き、観察し、現地の人々の話を聞くなどしたうえで、分析、思考し、まとめたものを論文やプレゼンで発表します。環境地理学科では、多くの授業が座学とフィールドワークのセットになっています。稲岡さんは印象に残っている授業として、3つのフィールドワークを挙げます。 1つは、測量学実習です。 「キャンパス内の広場で、測量の器具を用いて面積や高低差を測定する授業です。最終的な課題は地形図を作ることで、普段使っている地図がいかに手間をかけて作られているものなのかということがわかりました。測量学をはじめとした所定の単位をとると『測量士補』という国家資格を取得できます」 2つ目は、自然環境学調査法です。 「キャンパスの外に出て、多摩川支流の地形や気候、植生を調査するなど、自然環境に関する調査法を学びます。特に印象に残っているのが『ルートセンサス』といって、一定の地域内に生息する生物などを調査する実習です。私は朝5時に最寄り駅からキャンパスまでの通学路を歩きながら、野鳥の分布と個体数を調査しました。15~20分で歩ける距離ですが、鳥の声に耳をすませながら1時間半かけて歩いたので、普段の通学路とは全く違って見えました」 3つ目は、野外調査法です。 「宿泊を伴う野外実習で、テーマ選びから、事前の情報収集、現地での調査、論文作成まですべて自分で行います。私は3年次の夏に都市地理学をテーマに、富山県に行きました。1960年代に富山県に初めて自衛隊の駐屯地が設置されたのですが、当時の反対運動やそれがどのように鎮静化していったのかなどを現地で調査しました。特に苦労したのが聞き取り調査です。アポ取りからすべて自分でやるので緊張しましたし、聞き取り調査のお相手から信用してもらえないこともありました。炎天下、汗だくになりながら1人で水田の横を歩き回って心が折れそうになったこともありました。最終的に集めた情報を分析して論文にまとめることができ、担当の先生にほめてもらったときには、涙が出るほどうれしかったです」