天の川とアンドロメダが40億年後に衝突? 回避できるのか
40億年後の地球に人類がいたら、どんな気持ちでその日を迎えるんだろう? 天文学者たちは、数十年にわたって約40億年後(45億年後という説も)に地球が属する天の川銀河と、隣接するアンドロメダ銀河が大規模な衝突を起こし、新たな宇宙空間を再形成すると考えてきました。 でも、もしもこの悲劇的な衝突が回避可能で、それぞれの銀河がそのまま残るとしたら?
天の川銀河とアンドロメダ銀河が衝突
過去の研究では、2つの銀河は衝突不可避とされてきました。しかし、プレプリントの論文を投稿できるarXivに公開された新たな研究によると、天の川銀河とアンドロメダ銀河はぎりぎりのところで衝突を避けられる可能性が約50%あるそうですよ。 「世界の終わりは来るのか?(Apocalypse When?)」という論文のタイトルが示す通り、銀河の衝突の確実性に疑問を呈しています。この論文は、現在査読中とのことです。 1世紀以上の間、科学者たちによって、250万光年先にあるアンドロメダ銀河が天の川銀河に宇宙感覚ではゆっくりと、地球感覚ではものすごいスピードで接近、正面衝突すると予測されてきました。米航空宇宙局(NASA)は、「宇宙は膨張、加速しており、暗黒物質の重力によって近距離にある銀河同士の衝突が引き起こされるため、依然として衝突の可能性はある」としています。 2021年にNASAのハッブル宇宙望遠鏡が捉えたアンドロメダ星雲の画像を分析したところ、アンドロメダ銀河が時速40万kmで天の川銀河に向かっていることが判明しました。 この結果から、科学者は約40億年後の衝突を確実に予想できると主張しました。当時のコンピューターシミュレーションは、2つの銀河が完全に融合して1つの楕円(だえん)銀河を再形成するまでに20億年かかり、太陽系は銀河の中心とはまったく異なる宇宙領域まで吹っ飛ばされることを示唆していました。
銀河同士が衝突する確率は50%
この研究の共同執筆者であるヘルシンキ大学の天体物理学者Till Sawala氏が率いる研究チームは、ガイア計画のデータとハッブル宇宙望遠鏡から得た最新の観測結果から、局所銀河群のアンドロメダ銀河、天の川銀河、さんかく座銀河、大マゼラン雲の運動と質量を分析し、今後100億年における銀河の進化をシミュレーションしました。 その結果によると、天の川銀河とアンドロメダ銀河が衝突・融合する可能性は50%弱に留まるそうですよ。研究者は論文の中で「銀河の消滅が迫っているという主張は、かなり誇張されているように感じます」と述べています。 また、今後明らかになるガイア計画のデータによって、局所銀河群に属する銀河の運動と質量の測定は正確さを増すと考えられています。したがって、天の川銀河周辺の真の運命を知るには、さらなる研究が必要とのことです。 40億年あるのでのんびり待ちましょう。 Reference: National Geographic Society
Kenji P. Miyajima