なぜ権威あるリング誌は井上尚弥を世界最強ボクサーの称号であるPFP1位に選出したのか…5票vs4票の僅差
井上に1票を投じたもう一人は、リング誌に長年寄稿してきたアンソン・ウェインライト氏。 「誰も(ドネアに)そんな勝ち方をしたことがない。井上が1番になってほしい。もし、ウシクが(アンソニー・)ジョシュアとの再戦で、強い印象を与えれば、ナンバーワンの座を取り戻すかもしれないし、クロフォードとスペンス(WBAスーパー、IBF、WBC世界ウェルター級統一王者)が戦えば、その勝者が1位になるかもしれないが、今のところ私はトップに井上を支持したい」 さらに米国を拠点に活動しているスポーツライターの杉浦大介氏と、編集者であるディエゴ・モリージャ氏の2人が井上を支持した。 モリージャ氏は、「私はしばらくの間、多くの理由でウシクを支持してきた。しかし、井上が他のすべてのファイターが目指すべきファイターであることを否定することは難しい。『速い』『狡猾』『いつも素晴らしくシャープ』は、現時点では、まだ控えめな表現だ」と井上を支持した理由を説明した。 一方で、マイケル・モンテロ氏、マーティン・マルカヘイ氏、アダム・アブラモビッチ氏、トリス・ディクソン氏の4人がウシクを推した。 モンテロ氏は「井上は疑いのないファイターだが、彼の功績は、まだウクライナ人(ウシク)の上にはいかない。少なくともまだ」と主張し、マルカヘイ氏は、「井上のドネア戦の結果は素晴らしい。だが、私がまだウシクを井上より上に置いているのは、ウシクが敵地に乗り込みジョシュアを破ったからだ」と説明した。 この時点で井上とウシクの支持票は4-4のイーブン。最終的に井上1位を決めたのは、編集長のダグ・フィッシャー氏の1票だったという。 「井上のパフォーマンスはセンセーショナルで完璧な攻撃的ボクシングに見えた。私は、彼が少なくとも(2位から)1つ順位を上げることに賛成だし、実際、1位は、井上とウシクの争いで、どちらがPFPのトップポジションでも問題がない」 井上は年末にも国内でWBO世界バンタム級王者のポール・バトラー(33、英国)と達成すれば史上8人目となる4団体統一戦に挑む予定だが、ひと足先に届いたPFP1位の快挙は、彼のモチベーションをさらにかき立てることになるだろう。 (文責・論スポ、スポーツタイムズ通信社)