巨人を、プロ野球を愛した〝独裁者〟 誤算だった球界再編問題 渡辺恒雄氏
わずか1年後、巨人に球団会長という肩書で返り咲いたが、以前ほどのパワーはなくなっていた。それでも、巨人の監督人事などでは隠然たる力を持っており、数年前までは東京ドームに観戦に訪れていた。巨人を応援する財界人有志で作る「燦燦(さんさん)会」には毎年のように出席。今年も首脳陣や選手を激励していた。巨人を思う気持ちは人一倍、強かったはずだ。
チームを強くするためならカネも出すが、モノも言う。今の球界には渡辺氏のような強烈な〝独裁者〟がいない。時代が変わったといえばそれまでだが、大正生まれの名物オーナーの死去を惜しむ。(江目智則)