大腸がん検診で「要精密検査」と言われた…これって大腸がん? 対処法を医師が解説!
「要精密検査」と言われたら大腸がん?
編集部: 血液の有無でがんがわかるのですね。 川原先生: そうとも言えますし、そうでないとも言えます。便潜血検査はあくまでも、リスクの高い人たちを振り分ける「スクリーニング」が目的なので、便潜血検査の結果だけでは大腸がんやポリープの有無がはっきりするわけではありません。 編集部: たしかに、痔がある場合などでも便潜血検査が陽性になりそうですね。 川原先生: そうですね。逆に、痔だからと言って必ずしも検査が陽性になるわけではありません。したがって、もし痔を持っている人が便潜血検査で陽性になった場合でも「痔があるから」と自己判断せずに、必ず精密検査を受けるようにしましょう。 編集部: なるほど。便潜血検査はあくまでも「1つの目安」なのですね。 川原先生: そのとおりです。専門用語で「偽陰性」「偽陽性」という言葉があります。大腸がんがあっても常に出血しているわけではないため、結果が「陰性」となったり(偽陰性)、痔など別の原因で出血している場合など、大腸がんではないのに「陽性」と判定されたり(偽陽性)することが起こり得ます。 編集部: 例えば、最初の検査で陽性でも、次が陰性であれば安心していいのでしょうか? 川原先生: そんなことはありません。偽陰性の場合も多くありますので、一度でも要精密検査と出た場合は、必ず医療機関を受診しましょう。
大腸がん検診の精密検査って何をするの?
編集部: では、精密検査ではどんな検査をするのですか? 川原先生: 大腸カメラ(大腸内視鏡検査)をおこない、肛門から内視鏡を挿入して、大腸の内部を観察します。事前の処置が必要となりますが、検査自体は6~20分程度で終わります。ポリープやがんが疑われる病変が見つかれば、その場で切除することもできます。 編集部: カメラなのに切除もできるのですか? 川原先生: 可能です。病変を切除した後、切除したものを病理組織検査に回して、そこで良性か悪性かなどを判断することができます。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 川原先生: 食生活の欧米化に伴い、欧米人に多い疾患が日本人でも発症しています。大腸がんもその1つで、30年前と比べて死亡者数が大幅に増加しています。そのため、積極的に大腸がん検診を利用して、予防や早期発見に努めましょう。また、せっかく検診を受けても、便潜血検査で陽性が出た後の大腸カメラを受けていない人が約30%もいるという調査結果もあります。病気の早期発見のためにも、便潜血検査で陽性が出たら、なるべくはやく医療機関を受診するようにしてください。