大坂なおみの何がどう凄い?18歳のテニスプレーヤーの将来性は?
「世界1位になることと、可能な限りたくさんのグランドスラムで優勝すること」。 これは大坂なおみが16歳の時に宣言した、「テニスキャリアにおける目標」である。 世界を知らぬ少女が見た、無垢な夢――そう受け流すことも出来るだろうが、彼女の場合は、決してそうではなかっただろう。何しろ大坂がこの目標を口にしたのは、世界の19位のサマンサ・ストーサーを破った後の、会見でのことだからだ。当時世界406位の大坂は、元全米オープン女王から大金星を奪い取ったその瞬間、「はしゃいではいけない」と自分に言い聞かせたという。 「大喜びしたら、これが自分の出来る最高のパフォーマンスだと満足してしまう。そう思いたくはなかったし、周囲の人にも、そのように思われたくはなかった」 それが、世界的にはまだ無名だった16歳が、テニス界の表舞台にセンセーショナルに躍り出た時に、真っ先に考えたことであった。 18歳にして先の東レパンパシフィックオープン(東レPPO)で準優勝した大坂は、この結果により、ランキングを47位まで上昇させた。1年前の203位から大躍進を果たし、今シーズン当初に「目標」と公言した50位以内に、まずは達したことになる。 テニスプレーヤー大坂なおみの武器は、最速で時速201キロを記録した超高速サーブ。そしてフォアとバックの両翼から繰り出される、破壊力に満ちたストロークだ。そのことは世界3位のガビネ・ムグルザや、東レPPO決勝で大坂を破り頂点に立ったキャロライン・ウォズニアッキも認めるところ。また、「これまで対戦したどの選手と比べても、ボールが重かった」と評したのは、初戦で大坂と当たった日本ナンバー1の土居美咲。ちなみに土居は、世界1位のアンジェリーク・ケルバーと今季だけでも2度対戦するなど、数多くのトップ選手と対戦を重ねている選手である。 それらの武器もさることながら大坂のアスリートとしての最も優れた資質は、驚異的な成長速度と向上心にこそあるだろう。今季の大坂は、全豪、全仏、そして全米と3つのグランドスラムに出場し、その全てでシード選手を破って3回戦に勝ち進んでいる。だが彼女自身は、その結果にむしろ失望の色すら見せていた。 「最初の大会で3回戦まで行ったのに、結局はそれ以上に進むことが出来なかった。同じところに留まっているように感じてしまう」のだと大坂は言う。 常に成長することこそが、彼女の目標。だからこそ大坂は、例え相手がトップ10選手だろうが敗戦後には悔しさを滲ませ、「今日の試合で上手くいかなかったことを克服する」ことを常に誓ってきた。