スポーツ界の課題と向き合い、世界一を目指すヴォレアス北海道。「試合会場でジャンクフードを食べるのは不健全」
インバウンドも見据えた「食ビジネス」の可能性
――スタジアムに出品しているメニューは、どんなものがあるのですか? 池田:自社のものだと天然の蜂蜜を使ったレモンソーダとか、直接農家の生産者さんにお願いしているオーガニック野菜や自然放牧の北海道産豚のハンバーグなど、基本的に化学調味料とか人工甘味料は使用せず、その時々によってメニューを変えながら提供しています。私たちのコンセプトの基準を満たした飲食店さんに出店いただくこともあります。 ――どれも健康志向でおいしそうですね。 お客さんの反応はいかがですか? 池田:「もっと安い商品はないの?」という声もいただきますが、映画館やディズニーランドと同じように、「ここは、イベントだと思って、なんとか割り切ってください」とお願いしています。一方で、「こういうコンセプトがあるからこそ安心して食べられる」という声や、健康志向で今までスポーツは見ていなかった方が「それなら推せる」と、試合を見に来てくれることもあります。 ――北海道の一次産業×スポーツの組み合わせは、大きな可能性がありそうですね。 池田:特に、今はインバウンドで台湾などから観光客が多く北海道に来ていて、京都、東京に次いで3番目に人気だそうです。今後はそうした海外の富裕層の方も多く受け入れていく中で、北海道の安心・安全な食を提供したいと思っています。大量生産の野菜ではアメリカや中国には勝てないので、質が高くていいものを北海道ブランドで作っていく一端を担えたらいいなと考えています。オーガニックを推奨する理由も、単に健康面だけではなく、従来の慣行農法は使用されている肥料や農薬が輸入に頼り切っているという課題に対しても有効です。北海道の大切な一次産業を持続可能にする為でもあります。また、観光と合わせてスポーツを盛り上げるスポーツツーリズムも積極的に打ち出したいと考えていて、今シーズンは台湾の選手が2人に増えます。 ――競技の面も両輪で進めているんですね。賛同企業も増えているのではないですか? 池田:そうですね。時代背景とともに、共感してもらえる人が増えてきたと感じます。