スポーツ界の課題と向き合い、世界一を目指すヴォレアス北海道。「試合会場でジャンクフードを食べるのは不健全」
SVリーグとヴォレアスの未来図
――V1に昇格した昨年は10チーム中9位という結果でしたが、どのような収穫が得られたシーズンでしたか? 池田:2部時代はコロナ禍の影響もあり、トップリーグに行けるチャンスがありながらも3~4年苦しい思いをしたので、その間は選手たちにものすごいプレッシャーがかかり、「負けてはいけない」というネガティブな戦いが続きました。「当たって砕けろ」とかかってくる対戦相手をすべて跳ね返さないと、入れ替え戦に進めない。それを乗り越えて今の舞台に来たわけですから、昨シーズンは結果は9位でしたが、「ハイレベルなトップリーグでの戦いを楽しもう」というメンタリティで臨み、選手たちもそこに喜びを感じてくれたと思います。 ――挑戦者のメンタリティが似合うチームですよね。 池田:そうですね。厳しくやるところはありつつ、試合を楽しまなきゃいけない。それがスポーツの原点だと思っていますから。 ――10月にはいよいよSVリーグが開幕しますが、池田社長はリーグの未来図をどのように描いていますか? 池田:よく成功の指標としてベンチマークにされるのはBリーグだと思いますが、圧倒的に違うのが試合数です。Bリーグは年間60試合以上ありますが、SVリーグは今は44試合。単純計算でもチケット収益が1.5倍違うので、短期的には試合数を増やしていきたいです。同時に、私たちの地元も含めてアリーナの建設計画が進んでいるので、試合数×キャパシティが大きくなり、スケジュール帳を見なくても「週末は地元で試合がある」という雰囲気が作れればいいなと思います。 ――ヴォレアスが描く理想の未来図についても教えてください。 池田:チームとしては日本一を目指していて、SVリーグが世界最高峰のリーグになることを目指していますから、それが叶えばイコール世界一です。競技人口で考えればバレーボールが世界一のメジャースポーツでもありますから、世界一の競技における世界王者の価値ははかり知れません。世界一のチームになれるチャンスは、サッカーでも野球でもバスケでも、なかなかないと思いますが、バレーボールは昨年サントリーサンバーズがFIVB世界クラブ男子選手権大会で世界3位になりましたし、その意味でも世界一になれるチャンスが私たちにもあると思うんです。 Bリーグで広島ドラゴンフライズが優勝したように、元々はアルバルク東京(トヨタ自働車)等の 企業チームが圧倒的に強かったのが、ここ7年、8年で大逆転した。そういうストーリーを僕らも描けたら、どのチームにもチャンスがあるという証明にもなると思いますし、バレーボールがより多くの地域に広がるきっかけになればいいなと思います。 <了>
[PROFILE] 池田憲士郎(いけだ・けんしろう) 1986年生まれ、北海道旭川市出身。ヴォレアス北海道代表・株式会社VOREAS代表取締役。地元で中学から社会人までバレーボールを続けた経験を持つ。大学卒業後、東京の建設メーカー、地元の建設会社での勤務を経て、2016年に地域創生を目指してプロバレーボールチーム「ヴォレアス北海道」を設立。翌年、株式会社VOREASを創業し、経営とともに環境事業、食事業など幅広く展開。2023年4月に最速でのトップリーグ昇格を果たし、24年10月に開幕するSVリーグに挑む。
インタビュー・構成=松原渓[REAL SPORTS編集部]