「金利のある経済」に移行する日本の変化とは、「MASAMITSU 日本株戦略ファンド」運用責任者に聞く
「MASAMITSU 日本株戦略ファンド」は運用責任者である大木將充氏の名前をファンド名に入れたユニークな商品だ。大木氏の経験と卓越した分析力を発揮して設定来、約10年の運用期間ではTOPIX(東証株価指数)を上回る投資成果を実現してきた。今年、日本株は日経平均株価が34年ぶりに史上最高値を更新する上昇になった。大木氏は、今後の日本経済について「明確に金利のある経済」に移行すると捉え、従来の超金融緩和期とは異なる銘柄群が活躍する市場に変化すると見通している。ファイブスター投信投資顧問の取締役運用部長である大木將充氏(写真:左)と営業部シニア・マネジャーの岩重竜宏氏(写真:右)に、当面の運用の見通し等を聞いた。
――日本がインフレ経済へと変わり、株式市場の物色対象も大きく変わるとの見通しを持っておられますが、日本がデフレを脱却したと考える根拠は?
大木 2022年に日本の労働力人口が減少に転じたことです。日本の人口は2008年にピークとなり、2011年以降は連続して人口減少を記録しています。ただ、総人口は減っても労働力人口(15歳以上で就労者と勤労意欲のある失業者を合算した人口)は、高齢者が60歳を超えても働く、女性の就業率の向上などがあって支えられていたのですが、それも2022年に明確に減少に転じました。これによって「人の価値」が上昇するフェーズに入ったと確信したのです。
人手不足については、外食でタブレット端末に客が自ら注文を入力することが当たり前になり、コールセンターも自動音声での応対が増えるなど、人が応対してきたところを機械が代わりに行うことが目立ち始めていました。ところが、昨年のゴールデンウィークに、インバウンド需要を取り込んで観光客が増えている地域の旅館が、人手不足のために休業するという事態にまでなりました。稼ぎ時の重要な時ですら人手不足で休業せざるを得ないというのは、相当深刻な人手不足になっているということです。このニュースなどで、人手不足による賃金インフレが起こることを確信しました。