いじめられた経験糧に米の相談アプリを日本展開「いじめの悩み減らしたい」
8ヶ月後、日本語版が完成
アプリの日本バージョンを作るために、日本の教員や有識者の方にアドバイスをもらったり、米国のInspirit Group, LLC社の担当者とスカイプで何度も打ち合わせをするなどして、日本独自のシステムを作っていった。2016年の4月頃にようやく、デモ版が完成。2016年6月に、国内で初めて大阪の私立学校「羽衣学園中学校」で導入が決まった。同校では、導入以降、抑止効果が生まれ、いじめの報告が減っているという。 その後、私立の学校を中心に、いじめが発覚した東京学芸大学附属高校や岡山県の県立高校などでも導入が広がり、現在は25校約1万2000人が利用する。今年柏市に導入されたことをきっかけに、問い合わせが50件以上来ているという。
いじめの傍観者にならないよう呼びかける授業プログラムも開発
柏市の導入が注目される背景には、STOPitだけを導入するのではなく、導入時に特別な授業を行っているからだ。千葉大学教育学部の藤川大祐研究室が監修した脱いじめ傍観者プログラムとストップイットの合わせ技が効果を発揮している。 同プログラムは、千葉大学の藤川大祐教授を中心に、柏市教育委員会、ストップイットジャパンなどが連携して開発。クラスの雰囲気がいじめの発生に関わるという千葉大学、名古屋大学、静岡大学の共同研究成果を元に、子どもたちが「脱・傍観者」の視点に立ち、いじめの予防や解決方法について話し合う授業プランで、道徳の時間や学級活動で活用できる。 谷山さんによると、「このプログラムを受けてから、STOPitの案内をすることで、いじめられている当事者だけではなく、傍観者の通報も促すことができる」と説明する。 柏市ではこのプログラムを中学1年生を対象に行った後、全中学生にSTOPit導入の案内をしたが、すでに昨年より多く、いじめの相談が寄せられている。 また、プログラムは、7月から無料配布を始めたが、すでに約500部配布されたという。