いじめられた経験糧に米の相談アプリを日本展開「いじめの悩み減らしたい」
米で話題のアプリの記事を見て「日本の子供をこれで助けたい」と一念発起
教員を目指していたが、教員採用試験に不合格になってしまったことをきっかけに進路を変更。同大の大学院を卒業後はリクルートに就職した。その後、早期退職し、大学時代から関わっていたNPO法人で、企業が学校でキャリア教育の授業を行う際のコーディネート業などを行っていた。教員ではない形で、教育に関わりたいという思いからだった。そんな中、2015年4月ごろ、あるインターネット記事が目に飛び込んできた。 「そこに、STOPitのことが書かれていたんです」 STOPitは2014年8月に米国でリリースされたアプリ。当時の米国では、インターネットの発達により、メッセージアプリなどを使ったネットいじめが横行していた。開発者は、「いじめの被害者とそれを目撃している人たちの両方に、いじめがどこで行われていようと、いじめを追跡できる手段をもたらしたい」と思い、アプリが生まれたという。 STOPitは、子供がアプリをダウンロードすれば、ボタンのワンタッチで匿名のまま、学校や教育委員会といった第三者に助けを求めることができる。嫌なことをされたときにスクリーンショットや動画で記録し、学校側に報告することもでき、名乗らずに担当の大人とメッセージをやりとりすることもできる。報告やメッセージを受け取った教育委員会や学校には、学年や学校名など学校側や教育委員会側であらかじめ設定した送信先がわかるため、匿名であっても学校と連携を取り素早く解決に乗り出すことが可能だ。 「これは日本にも必要だ、と直感し、問い合わせフォームからすぐにメッセージを送りました。日本でも同じことが起きているので、ぜひ日本の子供も助けてくれませんか、と」。 すぐには返事が来なかったが、4回メールを送り続けると、やっと返事が返ってきたという。 2015年8月、開発したInspirit Group, LLC社を谷山さんが訪問し、日本での導入に向けて事業が動き出した。