じつは、脚が「ガクガクになる」のには、理由があった…下山時に、やったほうが「絶対にラクになる」歩き方
歩き方を変えて、筋の負担を分散させる
歩き方を変えて、大腿四頭筋への負担を小さくしてやるのも有効です。斜面に対してまっすぐ前向きで下るのではなく、身体を斜め、あるいは横向きにして下るのです(図「大腿四頭筋への負担を減らす下り方」)。 このとき膝関節をあまり曲げず、お尻から重心を下ろしていくようにすると、殿部の筋にも負担を分散でき、大腿四頭筋への負担を減らせます。 これはスクワット運動をするときに、膝をなるべく前方に出さず、お尻から下ろすように指導されるのと同じことです。またこのとき、谷側にトレッキングポールを突いてから、足をそっと下ろすようにすれば、下半身にかかる負担をもっと小さくできます。 岩混じり、あるいは木の根がからみ合ったような急な段差の部分では、前向きではなく後ろ向きになって、腕も使いながら下りるようにします。こうすると、負担を全身の筋に分散させることができるので、楽にもなりますし、バランスをとりやすくもなります。 前記の工夫は一例です。登山中のさまざまな場面で、使う筋を上手に分散させて疲労を防ぐということを、自分で考え、身体を使って試行錯誤していくとよいでしょう。 * * * *次回は、本記事でも登場したトレッキングポール使う際のポイントについて、簡単にご説明します。 登山と身体の科学 運動生理学から見た合理的な登山術 安全に楽しく登山をするために、運動生理学の見地から、疲れにくい歩き方、栄養補給の方法、日常でのトレーニング方法、デジタル機器やIT機器の効果的な使い方などをわかりやすく解説。豊富なコラムで、楽しみながら知識が身につけられます!
山本 正嘉(鹿屋体育大学名誉教授)