「あ、昇進するなら辞めます」若者の新常識のなぜ 上司が「昇進を受けてもらう」ためにできる工夫
そんな状況は、たまったものじゃないわけです。 ■そもそも「物欲、出世欲」が少ない ③物欲、出世欲が強くない この世代の人からは「いい車に乗りたい」「いい家に住みたい」「高い時計が欲しい」といった言葉はそれほど多く聞かれません。 一方で、「いい物を買うために残業してまで稼ぎたいかというと、そういうわけでもない。だったらそこそこの物でいい」という話は多く聞かれます。 また、インターネットで情報収集することに長けており、お金をかけなくても欲しいものを手に入れる術をよく知っています。
そういった点からも多額のお金を必要としないということもあるでしょう。 また、一昔前は「出世=成功」「仕事を通じて自己実現をしていく」という価値観が主流だったように思います。 しかし、今の若手世代は必ずしもそうではなく、「出世より仕事よりプライベートを大事にしたい」といった声がよく聞かれます。 こういったことからも自己実現は仕事を通じてではなく、プライベートを充実させることで行っていきたいという価値観を感じます。
これらのことを考えると、「昇進すると忙しくなるから残業や休日出勤も増えるだろうし、人間関係のストレスも増える。そんなのは絶対に嫌だ。給料はそこそこでいいし、偉くなりたいわけでもない。だから昇進なんかしたくない」というのが、昇進が原因で辞める人の本音だといえるでしょう。 実際、その理由で辞めた31歳の男性はこう話されていました。 「上司のマネージャーを見てると、毎日残業してるし、土日もたまに出社してるし、上からの圧力もきつくなるし、自分には無理だと思いました。自分は給料が上がるより定時で帰れるほうがありがたいです。なので、マネージャー昇格の話が出たタイミングで辞めました」
こういった若手社員の心理からすれば、「昇進は名誉なこと。きっと本人も喜ぶだろう」と考え、本人の意向も十分に確認せずに若手社員を昇進させようとすると、離職されかねないわけです。 そのため、昇進させるかどうかを判断する際は本人の意向をよく聞いたうえで慎重に対応することが重要です。 ■昇進に応じてもらうためのコミュニケーションと関わり とはいえ、ある程度の年次になったら、昇進してチームを取りまとめてもらわないと困る場合もあります。