【特集】「『完治という言葉がない』と言われ絶望」“体操のひろみちお兄さん”こと佐藤弘道さんを突如襲った『脊髄梗塞』 下半身麻痺による過酷な闘病と死すら考えた“どん底”の日々…支えとなった家族との絆と、妻・久美子さんが初めて伝える想い
■「寝相が悪かったのかな?」朝、左足に感じた“しびれ”が数時間後には急変「激痛が走り、足の感覚が全くなくなった」
その2日後の2024年6月2日・早朝。佐藤さんによると、鳥取での研修会に参加するため自宅で準備していると、左足に“しびれ”を感じたといいます。そして、荷物を持ち上げようと踏ん張った際に、リビングで転倒しました。 Q.足のしびれ・転倒などは、過去にもありましたか? (佐藤さん) 「一切ないです。この日は、朝起きた時から左足がぷっくり浮腫んでいるような感じで、しびれていました。でも、『寝相が悪かったのかな?』と思うぐらいで。それで、リビングで荷物を運ぼうと思った時に、本当に“左足だけ泥沼に落ちる”ようにカクンッと落ちて、一人で転びました。それを妻も見ていたのですが、二人とも特に気にすることなく、『転んじゃった~』ぐらいでした」 しかし、自宅を出て、東京・羽田空港に到着後に急変します。気持ち悪さと腰回りに激痛が走り、機内でも腰や背中に耐えられないほどの痛みを感じました。鳥取到着後、立ち上がろうとすると、下半身が麻痺していて足の感覚が全くなかったといいます。 Q.飛行機に乗る前に、痛みを感じていたんですか? (佐藤さん) 「いつも朝早い時は、空港内で朝ごはんを探しに行くんですけど、この時はそんな気力もなく、待合室でずっと腰が痛くてしょうがなかったです。足を引きずるようにして飛行機に乗りましたが、機内でも冷や汗と痛みで大変でした」 Q.鳥取到着後は、立ち上がれなかったのですか? (佐藤さん) 「立ち上がろうと思った時には、既に感覚がなかったです。CAさんに車いすを用意していただいたんですが、通路が狭くて、自分の席まで車イスが来られなくて、一番前の席まで、もう腕だけで這って行くような感じで。それを妻が後ろから見て、初めて『やばい』と思ったようです」
■「窓を見て“ここから飛び降りてしまおう”とまで…」完治という言葉がない“絶望”
鳥取空港から病院へ向かい、緊急入院となった佐藤さん。「仰向けでベッドに寝て、トイレにも行けず、尿道に管を入れてもらった。最初は、オムツを外すこともできなかった」といいます。 診察の結果、『脊髄梗塞』の疑いがあると告げられ、約2週間後、正式に診断されました。 佐藤さんは、「初めて聞く病名で、医師からも『稀な病気で完治という言葉がない』と言われ、“一生、車いす生活なんだ…”と絶望した。体の自由を奪われたことで、一時は病室の窓を見て“いっそ、ここから飛び降りてしまおう”とまで考えた」と、当時の心境を吐露しています。 Q.仕事のこと・ご家族のことなど、いろいろお思いになったでしょうね。 (佐藤さん) 「相当落ち込みました。家族にも、これから一生迷惑かけるだろうということもあるし、自分がやりたいことも全てできなくなってしまったので、絶望のどん底という感じでした」
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