草津東高GK岡留佑樹(3年=クレアーレ出身)は味方のゴールにも厳しい声を飛ばし、集中させていた(Taro YOSHIDA)

[11.9 選手権滋賀県予選決勝 近江高 0-3 草津東高 皇子山] 　1-0で迎えた後半15分、草津東高はFW力石龍之介(3年)が右足ミドルを突き刺して追加点。ファインゴールを決めて歓喜のダッシュをする力石を祝福しようと、ピッチの選手、控え選手もベンチ前へ駆け寄った。その中、自陣ゴール前から「浮かれるな!」「集中しろ!」という声。GK岡留佑樹(3年=クレアーレ出身)が厳しい表情でチームメートたちを引き締め、プレーを再開させていた。 【写真】「全然違う」「びびるくらいに…」久保建英の9年前と現在の比較写真に反響 　岡留はその理由について、「去年、一時的に追いついたところで自分も喜んでしまったことがあって。それやってしまうと絶対に近江高校にやられると思ったんで、もう初戦から点取っても喜ばないというか、点が入っても入ってないっていう気持ちでプレーするようにしてて、DFラインとかが笑ってたり、ちょっと浮かれてるなと思ったら自分が締めて、絶対ゼロでやるっていう気持ちでやっていました」と明かす。 　草津東は前回大会決勝で近江高と対戦。0-1の後半に追いついたが、延長後半終了間際の失点によって敗れている。その試合で岡留は好セーブを連発しているものの、味方のゴールによって気が緩んでしまったことを反省。だからこそ、2-0という状況にも厳しい言葉を発し、隙を作らなかった。 　その岡留について、牛場哲郎監督は「彼は副キャプテンやってくれてまして、ほんとにもう冷静にチームをまとめるところは、(主将の)上原はどちらかというと、こう気迫で選手たちを燃え上がらす役割で、逆に岡留はキーパーっていうポジション柄もありますし、全体を見てこう本当にやるべきことをしっかり冷静に伝えてくれる選手で大きな支えになっています」と説明し、“闘将”MF上原周主将(3年)と異なるリーダーシップに信頼を寄せる。 　その岡留は試合終盤、近江の前に立ちはだかった。「集中はできてたと思います」という岡留は枠を捉えてきたシュートを好反応でストップ。相手の計9本のシュートやDF背後へのボールに鋭い動きで対応し、無失点優勝を勝ち取った。 　前回大会の選手権で近江のGK山崎晃輝(3年)が活躍し、全国準優勝。岡留は「だいぶ山崎君上手くて、全国でも自分もあのくらい絶対活躍してやると思って1年間練習してたんで、とてもいい刺激になりました」というように、同学年のライバルに負けない活躍をすることを目指してきた。 　試合の中で一喜一憂するのではなく、「全体の状況を見て、自分がどういう行動を取るべきかっていうのを毎日考えてやってきました」。サッカー面でより大人になった守護神は、全国大会へ向けて「今まで通り無失点っていうのは意識しつつ、(今日、)最後シュートとか打たれる場面もあったんで、もっと最初だけじゃなくて試合の終盤まで集中力を保てるようにトレーニングしていきたいと思っています」。勝ったことに満足するのではなく、課題をまた改善。そして、全国大会も無失点で勝ち続ける。