史上初のハードル2種目代表入りを狙う豊田兼 開幕前日会見で自信を見せつつ不確定要素にも言及【日本選手権プレビュー】
「この日本選手権を見てもハードル2種目に出場する選手は少ないですし、(日本のトップレベルで)両立してやれるのは自分しかいません。新しいロールモデルを目指して2種目をやりたいと思って来ました。大学2年までは同じ大会でも1つに絞らず、2種目出場していました。そのままの流れでシンプルに、2種目を楽しんでやっていきたい思いもあります」 これは“やってみないとわからない”部分だが、豊田は今回の2種目挑戦のために、新しいトレーニングパターンにも挑戦してきた。 「GGPまでは400mハードルに比重を置いた練習をしてきましたが、この1カ月はラン中心のメニューと、ウエイト中心のメニューをやって、あとは110mハードル、400mハードルをほぼ均等にやって来ました」 慶大短距離ブロックの高野大樹コーチも、「両種目に並行して取り組んだ1、2年時と、分けて取り組んできた3年時以降の経験を総動員して練習を組み立てます。腕の見せどころです」とGGP後の取材で話していた。豊田は110mハードルの標準記録突破の手応えを質問されて、「上手くいけば13秒1台まで入れる」とコメントした。 GGPの400mハードルレース後には「1~2台目までを3.7秒で入った」と話していた。レース直後にハードル間タイムの数値を話すことなど、は聞いたことがなかった。高野コーチによれば、ハードル間の所要タイムを練習で繰り返し計測していたという。110mハードルでも同様の練習中のデータがあるのだろう。 最後に、種目を絞らないことの練習について、2つの見方ができることに言及した。 「この1か月の練習を均等に割り振ったとはいえ、片方に絞っていたらスキルの部分をもっと深く極められたかもしれません。その一方で2種目を両立させようとすることで、相乗効果で良い調整になったのかもしれません。今回の結果でそれがわかると思います」 自身の現状をしっかり把握している点が、豊田の2種目成功への可能性を高くしているのではないか。
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)
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