タイソン復帰戦は不完全燃焼“ドロー”…54歳と思えぬ動きも“クリンチ地獄”脱出できず「2分は3分のように長かった」
注目の一戦は、ビッグマッチでお馴染みのリングアナ、マイケル・バッハの呼び込みから始まった。青コーナーから先にジョーンズが入場。続いて赤コーナーからタイソンがリングイン。黒のラフなTシャツを頭からかぶり、黒のトランクス。黒のマスクをつけていたが、昔と同じスタイルだ。 ゴングと同時にタイソンは現役時代と同じくピーカブースタイルでガードを固め、小刻みに素早く上半身を動かしながらプレッシャーをかけた。スピードの乗った左ジャブを放つ。下がるジョーンズに左ボディから左フックと得意のパンチを繰り出すが、すぐにクリンチで腕を絡み取られた。これが“クリンチ地獄”の始まりだった。 2ラウンドは鋭いステップインから上下に左のパンチ。タイソンはサイドにステップを踏み、上半身の動きでフェイントを入れながら左ボディを叩きこむが、ジョーンズのクリンチに封じ込められ、次のパンチにつながらない。 4ラウンドにようやくジョーンズが得意のステップワークからの攻撃を見せようとするが、それも長くは続かない。タイソンが反撃すると、またクリンチである。 トレーナーが口に出す数字の組み合わせに応じて、瞬時にコンビネーションブローを放つ訓練を現役時代に徹底してきたタイソンの体には15年が経過しても、その動きが染みついているのだろう。 5ラウンドには、左のジャブをダブルで放ち、ジョーンズのパンチをダッキングで外して、すぐさま左フックをお見舞いする、往年を彷彿させるコンビネーションを見せたが、12オンスのグローブではダメージも軽減するのだろう。またクリンチに逃げられダウンシーンを演出することができない。 6ラウンドに入る頃、もう51歳のジョーンズは息が上がっていた。 だが、この試合にむけて45キロの減量に成功。1986年にイベンダー・ホリフィールド(米国)と激闘を演じた頃に近い、99.9キロに見事にシェイプアップされた肉体を作ったタイソンの動きはまだキープされていた。 7ラウンドに勝負をかける。ヘッドスリップでジョーンズのパンチを避けながら前進すると、ボディに強烈な左右のパンチをめりこませた。だが、またクリンチ。イラついたタイソンは、思わずジョーンズを投げ飛ばそうとした。