タイソン復帰戦は不完全燃焼“ドロー”…54歳と思えぬ動きも“クリンチ地獄”脱出できず「2分は3分のように長かった」
プロボクシングの元ヘビー級3団体統一王者のマイク・タイソン(54、米国)対元4階級制覇王者、ロイ・ジョーンズ・ジュニア(51、米国)の注目のヘビー級エキシビションマッチが28日(日本時間29日)、米国ロサンゼルスのステープルズ・センターで無観客試合として行われ両者は8ラウンドをフルに戦い“ドロー”に終わった。2分×8ラウンドの特別ルール。正式なジャッジはなかったが、WBCの元王者ら3人の特別ジャッジが非公式採点を行い引き分けと判定した。タイソンは、随所に54歳とは思えぬ往年のスタイルを披露、正式な判定であれば圧勝だったが、ジョーンズがほとんどをクリンチで防いだため不完全燃焼の試合内容となった。15年5か月ぶりのリング復帰を終えたタイソンは「2分が3分のように長かった」と語り「ボディが強かった」と嘆くジョーンズの健闘を「よく耐えたよ」と称えた。
タイソン圧倒も「引き分けでいいですよ」
もし観客がいたら大ブーイングが飛び交っていただろう。 2分×8ラウンドの16分間のほとんどがジョーンズのクリンチに費やされた。試合終了のゴングとほぼ同時にタイソンは右のボディブローを放ったが、それが“不完全燃焼マッチ”に対する元3団体統一王者の意思表示だったのかもしれない。 あくまでもエキシビションマッチであり、カリフォルニア州のアスレチック・コミッションは正式なジャッジをつけなかったが、WBCが元WBC女子世界スーパーウェルター級王者で人気ボクサーだったクリスティ・マーティン、元2階級制覇王者で映画の題材にもなったビニー・パジェンサ、元WBC、IBF世界ライトヘビー級王者のチャド・ドーソンの3人の特別ジャッジを用意、非公式のリモート採点が行われた。エキシビションマッチということもあって、3人の元王者が出した結論は「引き分け」。ジョーンズがほとんど何もしなかった試合でドローとは不可解な判定だが、タイソンは笑顔で、そのジャッジを受け入れた。 「引き分けでいいですよ。みんなが喜んでくれたらそれでいい」 現役時代なら怒り狂っていただろう。しかし15年の月日がタイソンを大人にした。 タイソンと並んでインタビューを受けたジョーンズはまだ苦しそうだった。 「大変だった。ボディのパンチが効いた。彼は強かった。アウトボクシングができなかった。何もすることができなかった」 “完敗”を認めると、タイソンは、助け船を出した。 「お前も打ち返したじゃないか。よく俺のパンチに耐えたよ」