「さらば、スーパーカブ50」 電動アシスト自転車と原付2種の狭間で「原チャリ」は消えゆくのか
まもなく総排気量50cc以下の原付きバイク(原動機付き自転車)、いわゆる原チャリの生産が終了する。その前に製品を手に入れようと、駆け込み需要も発生している。なかでもダントツで人気なのがホンダの「スーパーカブ50」だ。 【写真で見る】働くスーパーカブ、70年近い歴史 * * * ■「本田宗一郎が許さない」 「スーパーカブ50は、歴史に幕をおろします」 11月1日、本田技研工業はスーパーカブ50について、「ファイナルエディション」を12月12日に発売すると発表した。 すると、SNSには、ファンの嘆きの声が書き込まれた。 「スーパーカブをなくすとは、何事だ」 「(創業者の)本田宗一郎が許さない」 「なぜ、生産終了するのか」 ホンダモーターサイクルジャパン・コーポレートコミュニケーション部の森口雄司さんは言う。 「いやいや、スーパーカブがなくなるわけじゃないんです」 ■生産台数は1億台超 初代スーパーカブが発売されたのは1958年。本田氏らが「生活の役に立つものでありたい」という思いを込めて作り上げた。低燃費と高い信頼性も評価され、ビジネスや通勤、通学と、幅広い分野で使用され、原付きバイクが普及するきっかけにもなった。これまでの生産台数は1億台を超える。 現在、スーパーカブはエンジンの排気量別に「50」「110」「125」と、3つのカテゴリーの製品がある。このうち、来年秋に導入される排ガス規制の強化に対応できず、生産が終了するのは「50」のみ。「110」「125」は生産が継続される。 「ただ、スーパーカブ50は70年近い歴史を積み重ねていますので、そのぶんお客様の支持があるのだと思います。ビジネスにも趣味にも使える、懐の深さがある」(森口さん) ■ビジネスバイクから趣味のバイクへ そう、スーパーカブ50は「趣味」のバイクだ。 発売から長らく新聞や郵便の配達用としても活躍してきたため、「ビジネスバイク」のイメージが強かった。 そのイメージががらりと変わったのが、90年代後半だ。 「レトロでおしゃれな乗り物というイメージで、ライフスタイルとして乗る若者が増えました」(同) 「うるさい」「危ない」というバイクの負のイメージとは一線を画し、「スーパーカブのある生活」という独自の文化が醸成されていったという。 自分の好みの外観にカスタマイズするファンもいる。今では全国にオーナーズクラブが設立され、ファンミーティングが開催されているという。