実家は資産家なのに「60代姉妹」が“謎の孤独死” 15年前の年初を騒がせた怪事件…父親も不審死で「身体中にタバコを押し付けた痕があった」
今や日常的に見聞きする言葉となった「孤独死」「孤立死」。2023年に内閣府のワーキンググループが作成した資料によると、「孤独死」という言葉が生まれたのは日本が高齢化社会に入った70年代のことだった。90年代後半、阪神・淡路大震災の被災者に多発したため多数のメディアが取り上げ、一般的な言葉になったという。 【写真】「火葬待ち」も新たな問題に…「2か月以上」の長期保存も可能な「遺体安置冷蔵庫」のスゴイ中身 言葉の認知度は高いものの、表す状況の定義は様々だ。基本となるのは「看取る者がなく自宅で死亡し、死後に発見されること」だが、巷の統計は自治体や民間レベルがそれぞれの定義でまとめたものである。定義の統一が容易ではない背景には、そこに至る経緯が故人の数だけ存在する事実もあるだろう。 超高齢化社会となった現在の日本は、独居する老人の数が増加の一途をたどっている。独居の若者も増え、孤独死は誰にとっても他人事ではない。14年前の1月8日、大阪府豊中市で孤独死した姿が発見された60代姉妹も、そんな最期とは縁遠いと思われた資産家のお嬢様だった。蝶よ花よと育てられた2人に一体何が起こったのか。 (全2回の第1回:「週刊新潮」2011年1月20日号「父は『地主』『銀行重役』でも餓死した、憎み合う60代姉妹の大没落」を再編集しました。文中の年齢等は当時のものです) ***
体重30キロ台にまでやせ細って
2010年秋、菅直人総理は臨時国会開幕の所信表明演説において、自殺や孤独死が増えている現状を踏まえ、社会の閉塞感を打開する覚悟を訴えた。しかし、そんな意気込みも虚しく、悲劇は今日も繰り返されている。今度は、大阪・豊中市で孤独死していた60代の姉妹が発見された。 大阪府の担当記者がこう解説する。 「1月8日午前10時頃、豊中市のマンションの一室を、大阪地裁の民事執行官が豊中署の警察官を伴って訪ねました。そこで、死亡している姉妹を見つけたんですよ」 司法解剖の結果、姉Aさん(63)の死因は心臓疾患とみられる一方、妹Bさん(61)の死因は不詳とされたが、餓死の可能性が高いという。 2人は、昨年12月22日ごろにすでに死亡していたことが判明したが、身長147センチの姉の体重はわずか37キロ、158センチの妹は30キロにまで痩せ細っていた。胃に内容物は無く、長期間、何も口にしていないことは明らかだった。 「水道料金を滞納し、電気とガスも止められていました。妹は長袖セーターを着込み、寒さを凌ぐためにマフラーを巻いたままで和室に倒れ、姉も厚着をした格好で居間に倒れていたんです」(同) 部屋にはゴミが散乱し、テーブルの上の財布に入っていたのは、10円玉がわずか3枚と姉名義のタスポ。その周囲に1円玉が数枚落ちていただけだった。