ウクライナ危機の先、国際エネルギー市場に待つ課題
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米国によるロシア原油などの禁輸措置を受け、原油価格はリーマンショック後の最高値を記録した。 ウクライナ危機 を巡る地政学が国際エネルギー情勢の安定を根本から揺るがしている。現在の状況は第1次石油危機における地政学情勢にも共通するところがあり、エネルギー安全保障強化の重要性が大きくクローズアップされる背景となっている。また、ウクライナ危機の展開については、米・ロシア・欧州・ウクライナに止まらず、中国や米国・サウジアラビア関係などを巡る地政学問題として見ることも重要である。 3月6日、アントニー・ブリンケン米国務長官がロシア産原油などの禁輸措置を検討しているとインタビューで発言したことを受け、原油価格が一気に高騰した。WTIは瞬間風速で130ドルを超え、ブレントに至っては139ドル台まで上昇、リーマンショック後の最高値を更新した。欧州の天然ガス価格もこのニュースに反応して急騰し、100万BTU当たり70ドルを超えた。原油換算では400ドル超の異常な高騰である。 ウクライナ危機が深刻化の一途を辿り、攻勢を強めるロシアの軍事侵攻を止めるために、欧米はロシアに従来の常識を超える厳しい経済制裁を科す動きが強まっている。米国によるロシア産の原油などへの禁輸措置は3月8日に正式に発表され、即日実施に移された。また、英国も本年末までに段階的にロシア原油の輸入を削減し停止する計画を発表した。ついに米英2カ国は具体的なエネルギー分野の制裁実施に踏み切ったのである。
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小山堅