小林可夢偉&ニック・デ・フリースの猛攻に敗北。ルーキー木村偉織の“研究成果”と課題「いいプレッシャーをかけてレースしたい」/スーパーフォーミュラ第5戦もてぎ
ルーキーとして2024年の全日本スーパーフォーミュラ選手権を戦っている木村偉織(San-Ei Gen with B-Max)。第3戦のスポーツランドSUGOでは予選11番手、決勝では9位でポイント獲得と、ともに今季の最上位を記録、続く富士スピードウェイでの公式テストでも最終セッションで5番手に入るなど、上り調子で夏を迎えたが、第4戦富士、そして今回の第5戦もてぎでは、やや苦しんでいるように見えた。 【写真】もてぎでの第5戦終盤、チームメイト同士のトップ争いを繰り広げた太田格之進と牧野任祐 ■「え、さらにそのイン側行くの?」 もてぎでは土曜朝のフリー走行で11番手と、ギリギリQ2進出圏内に入ったが、Q1・Bグループでは7番手と惜しくも進出を逃す結果となった。 日曜朝のフリー走行では2番手。ロングランペースへの期待が高まるなか、14番グリッドから決勝を迎えた。スタートに関しては「しっかり研究してきた」(木村)こともあり好ダッシュを決め、「そこからのバトルの距離感だったり、間合いの詰め方などもすごく研究してきたので」と、1周目を11番手で終え、ポイント獲得圏内を睨んでの序盤戦となった。 ピットインはミニマム+1周となる11周目の終わり。アンダーカットを狙いたいところだったが、2スティント目は厳しい戦いとなる。ほどなくして、背後にはミニマムでピット作業を行っていた小林可夢偉(Kids com Team KCMG)が迫ってきた。 「本当、トラクションのかかりがまったくなくて、ヘアピンの立ち上がりですごく追いつかれる状況でした。相手がオーバーテイクシステムをいつ使うのかも常に計算して、『この間合いだったら、相手に使われちゃうかな?』とか、逆にカウンターで使いながら守り続けている状態でした」 20周目のヘアピン立ち上がりで背後についた可夢偉が、90度コーナーに向け木村の右サイドへ。ディフェンスラインを取ろうとした木村だったが、大ベテランは片側をグリーンに落としながらもマシンを巧みにコントロールし、ルーキーを攻略していった。 「可夢偉さん来たな、と思ったのでインに寄せていくタイミングで、『え、さらにそのイン側行くの?』みたいな感じでした。自分としてはそれ以上押し出すつもりもなかったですし、あそこまで入られていたらどうしようもできないので……」 その状況は、数周後にニック・デ・フリース(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が背後に迫った際も同じ。参戦1レース目のデ・フリースをなんとかしのぎ切りたい木村だったが、やはりトラクション不足は如何ともしがたく、再び90度コーナーでポジションを失うことになってしまった。 「ニックは少し強引だったとは思いますが、別にルール違反ではないし、純粋に競り負けたので、もっと自分が強くならなくてはいけない状況だと思います」と木村。 トラクション不足については、今回だけでなく、シーズンを通した課題でもあるようで、とりわけダウンフォース量が少なくなる夏場で顕著に出てしまっている印象があるという。富士テストでの好調ぶりを後半戦にうまく繋げられず、もどかしさも募るが、「残り2大会、いい意味で焦りと緊張感を持って、効率良くやっていきたい」と木村は改善を誓う。 「何かが足りないわけではなくて、うまくまとめられるか。ドライビングを1周うまくまとめるのと同じように、クルマの作り方やレースウイークの流れなど、すべての部分で『まとめていく力』が、いまチームには足りないのかなと思っています。そこはドライバーが動かしていかないといけないですし、自分としてももっと働きかけられることはないか、と常に思っています。自分自身にも、チームにも、いいプレッシャーをかけて、レースできるようにしたいです」 [オートスポーツweb 2024年08月27日]