プライバシー筒抜けの町内に引っ越した。最初はゴミ出しルールに翻弄されて。隣家の娘は深夜に大型バイクのエンジン音を響かせる
国土交通省が発表した「マンション総合調査」(平成30年度)によると、5年前と比較してトラブルを抱えているマンションが増えており、発生したトラブルについては居住者間のマナーをめぐる問題が55.9%と最も多かった。具体的内容としては、生活音が38%と最も多く、次いで違法駐車・違法駐輪が28.1%、ペット飼育が18.1%。さらに集合住宅だけではなく戸建における近隣トラブルも起きるもので、清水多佳子さん(仮名・北海道・主婦・60歳)は、夫が40代の頃、古くからの住民が多い町に戸建てを買って引っ越したところ――。(イラスト=ひしだようこ) 【漫画版はこちら】 * * * * * * * ◆突き返されたゴミ袋 私たちが移り住んだ町は、住宅が密集し、古くからの住民が多かった。大きな家には二世代、三世代で同居するのが当たり前。人口密度も人間関係も濃い下町エリアだ。 当時40代の夫が、「住宅ローンを組むなら今」と決心し、不文律の習わしや伝統とは無縁だった郊外のマンションから戸建てに引っ越した。 早速、町会長に挨拶にうかがい、同じ組と教わったお宅を15軒もまわった。隣家は50代後半の夫婦と娘さんの3人住まい。娘さんは未婚で看護師をしているそうだ。反対側の隣は、5軒先の家の子ども3人の勉強部屋として使っているという。こちらから訊かなくても、挨拶の時に町内の皆さんが口々に教えてくれた。 最初のゴミ収集日が近づいたある日、ゴミ出しのルールを隣の奥さんに尋ねた。「収集所は2ヵ所あってどちらに出してもいい。当日の朝8時までに出すこと。当番になったら2人1組で掃除する」とのこと。私は隣の奥さんとペアだ。 そして収集日当日、朝8時前に玄関のチャイムが鳴った。出ると、怖い顔をした高齢の女性が立っている。「あんたのゴミは向こうへ出して」と言って、私が出したゴミ袋を玄関に置いて去っていった。「ええっ!」と呆然。 ゴミ収集車が来る音が聞こえたので、あわてて幼子の手をとりゴミ袋を持って「向こうの収集所」へ急いだ。夕食時、夫に「隣の奥さんはどっちでもいいって言ってたのに」と愚痴を言うと、夫は「勘違いかもよ。ほかの人に聞いてみたら」と言う。
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