プライバシー筒抜けの町内に引っ越した。最初はゴミ出しルールに翻弄されて。隣家の娘は深夜に大型バイクのエンジン音を響かせる
◆ご近所に恵まれていたのか、いなかったのか さらに2日後、女性の家に行くと、40代くらいの男性がいた。挨拶もそこそこに、わが家の売却希望価格やローン残債、設備状況などを畳みかけるように聞いてくる。あの雑談からどうしてこんな展開に?! 「お話を聞くだけですから」と言う彼と、「彼に任せたら全部うまくやってくれる」と言う女性に気圧されたが、「家は夫の名義ですから」ときっぱり断って逃げ帰った。夫に話すと、「お金のにおいがした途端、本性が出たんだね。怖いね」とあきれ顔。 不動産売却を任せると言わなかった私に見せた、「逃がさないよ」と言わんばかりの恐ろしい彼女の顔が忘れられない。 しばらくして今度は町内に住む男性が突然訪ねてきた。30代独身、近所に実家がある。「僕、Aの販売を頑張ってるんです。あなたも始めてみませんか」とあやしい商品購買システムに勧誘され、またびっくり。 それから数年後、私たち一家は、人間不信の芽が大きくなる前に引っ越した。新しい土地で今はゆるい近所づきあいをして暮らしている。 当時の私はご近所に恵まれていたのか、いなかったのか――。思えば下町人情に厚い人が多く、子ども同士も親同士も自然と仲よくなった。ゴミ袋を突き返しにきた高齢女性は、町内の生き字引みたいな存在で、新参者を突き止めるのも朝飯前。最初は苦手意識もあったが、面倒見がいい方で、尊敬するようになった。 隣家とは微妙だったが、ほかの家とは友好的で、用事があれば協力し楽しくやれていた。そう考えると、「ご近所に恵まれていなくもなかった」のかもしれない。
****** ◆人間関係で悩んだら 清水さん(仮名)は、引っ越すことにより隣家との関わりを断つことができました。ご近所で何かあった際、当事者どうしだけで話し合うと、さらなるトラブルになる可能性もあります。 何か困ったことが起きた際、集合住宅や賃貸では大家さんや管理会社に、持ち家の場合は地域の自治体など、一人で抱え込まず第三者に相談することが大切です。 ご近所関係は生涯続くもので、内閣府が発表した令和3年度の「高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果」によると、「参加しておらず、参加したいとも思わない」と回答した割合が25.5%と最も高い中、次いで「町内会・自治会」が21.8%でした。 地域社会との繋がりが持てる一方、人間関係のさまざまなトラブルで悩み、疲れてしまう人も多いでしょう。そんなときは、第三者に話を聞いてもらうことで、気持ちが軽くなる場合もあります。一人で抱え込み自分を追い詰める前に、気軽に相談してみましょう。 ●よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター) Tel:0120-279-338(つなぐ ささえる)(フリーダイヤル・無料) 岩手県・宮城県・福島県から Tel:0120-279-226(つなぐ つつむ)(フリーダイヤル・無料) HP:https://www.since2011.net/yorisoi/ ●こころの健康相談統一ダイヤル 電話をかけた所在地の都道府県・政令指定都市が実施している「こころの健康電話相談」等の公的な相談機関に接続します。 Tel:0570-064-556(おこなおう まもろうよ こころ)(ナビダイヤル) 各相談窓口一覧はこちら
清水多佳子
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