バクーでタイヤを猛批判したラッセルとピレリが話し合い。パフォーマンスを左右する要素は複数あると責任者が主張
F1第18戦シンガポールGPを前に、メルセデスのジョージ・ラッセルとピレリの代表者らが集まり、第17戦アゼルバイジャンGPのレース後にラッセルがピレリのタイヤを強く批判したことについて話し合いが行われた。 【写真】2024年F1第18戦シンガポールGP FIA会見 マリオ・イゾラ(ピレリ レーシングマネージャー) アゼルバイジャンでラッセルは表彰台の最後のスポットを確保した。しかし、彼はミディアムタイヤで苦戦した一方、ハードタイヤでは好調だったことから、ピレリのタイヤの不安定なパフォーマンスに不満を表明。ラッセルは、コンパウンド間のパフォーマンスの変動は「腹立たしく」、「十分ではない」と表現した。 「正直言って、これほど変わるのはかなり腹立たしいものだ」と、ラッセルはバクーでのレース後にこの問題を振り返って語った。 「これはメルセデスだけの問題ではなく、すべてのチームとドライバーにとって問題だ。あるセッションでは速いのに、次のセッションではそうではなくなる。そして、変わるのはただひとつのことだけだ」 「これは黒魔術だ。タイヤを作っている人たちでさえ、タイヤを理解していないと思う」 「今何が起きているのかについて、もう一度真剣に話し合う必要がおそらくあると思う。なぜなら、最速のマシンを生み出すために2000人のスタッフが懸命に働いているからだ」 「レースのうち20周では、僕たちのマシンは優勝を争うのに十分な性能を持っていたが、残りの20周ではポイント圏内にいないはずのマシンだったかもしれない。唯一の違いはタイヤだったが、実際のところ十分ではなかった」 ラッセルの発言はピレリにも伝わり、ピレリはその後シンガポールでラッセルと彼の不満について話し合うために会合を持った。ピレリのF1責任者マリオ・イゾラは、ラッセルの懸念を受け入れながらも、バクーのデータは、タイヤに通常とは異なるパフォーマンスの問題があったことを示していないと主張した。 「ドライバーとは常に話をする。理解を深めるのに役立つからだ」と、イゾラは『F1 TV』に語った。 「レース後の興奮のなかで彼に何かあったようなので、我々は一緒に話をした。彼は、ミディアムコンパウンドでは明らかにパフォーマンスを感じられなかったが、ハードコンパウンドではマシンがかなり速かったと私に説明した」 「バクーのすべてのマシンのデータを見ても、タイヤの性能に関して異常は見つからなかった」 イゾラは、タイヤはレースウイークのチームのパフォーマンスに影響を与える多くの変数のうちのひとつに過ぎず、ほかにもマシンのセットアップ、路面の改善、スティントのオープニングラップにおけるタイヤマネジメントなどの要素の影響があることを主張した。 「パフォーマンスに貢献する要素はたくさんあると思う。マシンのセットアップや、最初の数周でタイヤをどれだけ労って慣らすかということ、また、コース路面の改善などだ。そのため、数千分の1秒が最終結果に影響するチャンピオンシップでは、ストレスが非常に高くなるのは明らかで、パフォーマンス上の小さな差に最終結果を左右される可能性もある」 イゾラはまた、ウイリアムズやマクラーレンなどの他のチームが、レース中は両方のコンパウンドで良好なパフォーマンスを発揮していたと指摘し、この問題は広範囲にわたる問題というよりはメルセデス特有のものだった可能性があることを示唆した。 「ウイリアムズは、両方のコンパウンドでマクラーレンや他のチームと同様に非常に優れたパフォーマンスを発揮していた。メルセデスに何が起こったのかを具体的に見るべきだが、通常我々は全チームにわたる分析を行っている」 イゾラと話し合ったものの、ラッセルのタイヤ性能に対する不満は、シンガポールGPの予選中のコメントからもわかるように解消にはほど遠いようで、予選Q1でラッセルは、チーム無線で「この駄目なタイヤを理解できない。どうやったら1回のセッションでコンマ8秒も失うのかわからないよ。まったく違っている」と発言した。 [オートスポーツweb 2024年09月24日]