角田裕毅、レッドブル初走行へ〝記念受験〟ではなく昇格試験にできるか
【ベテラン記者コラム】 自動車のF1シリーズ第21戦ブラジル・グランプリ(GP)でRBの角田裕毅が今季自己最高に並ぶ7位に入った。予選で自己ベストの3番手につけ、決勝はレース中盤に後退したが、7月の第13戦ハンガリーGP以来、8戦ぶり今季8度目の入賞を果たした。 【写真】フェルスタッペン「1週間、ニセコでスキーをしていた。だから時差ボケもない」 今季最終戦アブダビGP後には兄弟チーム・レッドブルの車体を初走行させることが決まった。レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は「ホンダと話し合って決めた。彼にドライブの機会を与えエンジニアたちとともに仕事をし、パフォーマンスを確認できるのはいいことだ」と明言した。 2021年にRBの前身アルファタウリからF1デビューを飾った角田は来季までRBと契約を結んでいるが、レッドブルのマシンにはイベントのデモ走行でしか搭乗したことがない。21年までレッドブルにパワーユニット(PU)を供給し、22年以降は傘下のホンダ・レーシング(HRC)を通じ、レッドブルのPU部門「RBPT(レッドブル・パワートレインズ)」を技術支援しているホンダは、角田にチャンスを与えることを要望していた。 昇格試験となるか。レッドブルはドライバー部門で総合3連覇のマックス・フェルスタッペン(オランダ)と28年、相棒のセルヒオ・ペレス(メキシコ)とは26年まで契約が残っている。本来なら角田に好機は訪れないはずだったが、ペレスの深刻な不振で状況が変わった。RBは第18戦シンガポールGP後にダニエル・リカルド(オーストラリア)を解雇。第19戦米国GPから控えドライバーのリアム・ローソン(ニュージーランド)を起用し、角田と比較することを決めた。 米国GPはPU交換による降格ペナルティーで19番手スタートだったローソンが力強い走りで9位入賞した一方、角田はレース終盤にスピンを喫するなど精彩を欠き、14位に沈んだ。第20戦メキシコGPでは角田がスタート直後にクラッシュしてリタイア、ローソンは16位と散々な成績に終わった。ブラジルGPは角田が7位、ローソンは9位と1勝1敗1分けの様相を呈している。 22年から製造者部門を2連覇したレッドブルだが今季はペレスがポイントを稼げず、フェルスタッペン一人に頼りきっている。ブラジルGP終了時点でマクラーレン、フェラーリに次ぐ3位に甘んじ残り3戦での逆転は厳しい情勢にある。F1で4年目を迎えた角田は序盤戦で印象的な走りを披露し、昇格にふさわしい実力を示した。「マックスは現時点で最高のドライバー。多くのことを学びたい」。ホンダとレッドブルの関係は25年まで。テスト走行を〝記念受験〟で終わらせるわけにはいかない。