国交省が地方銀行と組んでファンド設立、空き家リノベで分散型ホテル創出など地域の価値向上の支援を聞いてきた
国土交通省所管の一般財団法人「民間都市開発推進機構」(MINTO機構)は、地域の金融機関とファンドを設立し、空き家や空き店舗のリノベーションなど民間のまちづくり事業を支援する「マネジメント型まちづくりファンド支援事業」を全国各地で進めている。一定のエリアでおこなわれる複数の事業を連鎖的に進め、まち全体の魅力を高めるのが狙い。観光拠点の整備などに活用され、2024年3月までに全国で32件のファンドが設立された。 この事業の仕組みや活用事例、目指す姿をMINTO機構の担当者に聞いた。
まちの整備と空き家・空き店舗問題の解決にも貢献
MINTO機構は、国からの補助を受け、民間の都市開発事業に対して融資や出資・社債取得、助成などさまざまな金融支援をおこなっている。「まちづくりファンド支援事業」は、こうした支援策の一つ。地方銀行や信用金庫など地域の金融機関とMINTO機構が同額の出資をおこない、まちづくりのためのファンドを作る。 ファンドの規模は数千万円から数億円で、存続期間は最長20年。各事業への投資回収期間のめどは最長10年。社債の取得または優先株式出資での投資となるため、投資先は民間の株式会社や合同会社が前提。個人や社団法人・財団法人などは対象外となる。 ファンドの対象地域の民間事業者は、ファンドからの支援で空き家や空き店舗をリノベーションし、物販施設や飲食施設、宿泊施設などを整備する。エリア内で連鎖的に店舗を整備していくことによってエリア全体の価値を高めると同時に、全国各地で起きている空き家や空き店舗の増加といった課題の解決にも貢献していく。 担当者は「例えば若い人たちが都市に出て行って空き家が増え、さびれてしまった商店街に魅力的な店舗ができて、周りのまちからも人が集まってくるようになれば、まちの魅力も上がり、このまちで商売をしてみたいという方も出てきます。そういう魅力的なまちづくりを1店舗だけではなくて、2店舗、3店舗という面的な形で進めていきます」と話す。