非正規職員でいまだ現役の66歳。離婚の財産分与で買ったマンションがあって良かった!「素直なSOS」が幸運を呼び込む
◆車は断捨離候補、医療保険一つを解約検討 若いころに自治体の正職員だったため、淑恵さんはかつて共済年金に掛けていました。制度が変わっていまは厚生年金ですが、特別支給の老齢厚生年金として報酬比例部分の受給がすでに始まっています。 「いまの支出を計算してみたら、結構いろんなものにお金を払っている、って分かりました」。駐車場代には月約2万円払っています。淑恵さんは運転好き。月に1度は郊外に、年に1度は泊まりがけで遠くの観光地に、ドライブに行きます。駐車場のほか車検や税金など、年に計30万円近くの維持費がかかります。「車は、手放したほうがいいかしらね」と、残念そうです。いずれ収入が年金だけになって、生活を縮小する時には、車は断捨離候補かもしれません。 他にも、マンションの管理費・修繕積立金が、月に計約2万2千円。医療保険とがん保険は、毎月計約1万2千円。NISAは掛けていないので、老後資金のために「医療保険の一つを解約して積立NISAでも始めたほうがいいかしら」とも考えます。 ただ、実はがん保険には助けられました。 8年ほど前のことです。健康診断で受けたマンモグラフィー検査で、右胸にしこりが見つかりました。要精密検査と言われ、頭が真っ白になっていた時、旧知の婦人科の医師と事務スタッフに、職場で偶然、会いました。仕事の打ち合わせで来庁していたのでした。相手は名医です。「要精密検査って言われちゃったんですよ~」。軽い調子で話したら、事務スタッフが顔色を変えました。「淑恵さん、次の月曜、朝イチで来てください」。予約を取ってくれました。
◆どんな苦しい状況も笑いに変えるバイタリティー 診断の結果、乳がんと分かりました。右胸は全摘出が必要と言われました。ただ、現代では同時再建手術が可能とのこと。手術が終わって麻酔から目が覚めたら、すでに新しい胸が出来ている、と説明されました。半年ほどかけて、徐々に膨らみを増やして形を整えていくそうです。「子どもを産んでない女性は、乳がんのリスクが高いんですよね」 ただ、幸運なことに、淑恵さんら嘱託職員にも、当時は有給休暇がありました。さらに、淑恵さんの勤務は週末出勤が多い職種で、ふだんから平日に振り替え休日を取っていました。結果、約1ヵ月も手術入院で休みましたが、給料は減りませんでした。「ラッキーでした」。さらに、昔入っていたがん保険も大活躍。保険金が400万円近くも出ました。 さすがに、胸を取る前は感傷的になりました。でも、仕方がありません。命が取られるよりは良いです。「アンジェリーナ・ジョリーが、乳がんリスクが高いからって、予防的に両胸を取りましたよね。あの気持ちがよーく分かりました」。明るい淑恵さん。笑って、再建したバストの利点を教えてくれました。 「知ってます? 再建した胸って垂れないんです。ぴん、って張っている。仰向けに寝ても、流れないで、きれいなお椀型のままなんです。すごいですよね~」 いやはや、タフです。どんな苦しい状況も笑いに変えてしまう淑恵さんのバイタリティーには頭が下がります。だからこそ、浮気の果ての壮絶な離婚話も、いまや笑い話として語れるのでしょう。 手術以来、淑恵さんは「人間の体は食べた物でできている」と実感、食事に気を配るように。大好きだったスイーツは封印。玄米食にして、野菜、キノコ、発酵食品を摂り、牛肉も豚肉もやめました。それまで60キロ近くあり、11号の洋服がきつかったのが、みるみる減量。目標体重の45キロになりました。外食やケーキは、たまに許しますが、いまも体形をキープ。すっかり健康体です。